第28話 少しだけのすれ違い
その夜、すばるが帰宅し、リビングで夕食を共にしていた。
「今日はどうだった?」
すばるが穏やかに尋ねると、あゆみは少し考えてから「普通かな」とだけ答えた。
すばるはしばらく彼女の顔を見つめた後、静かに言った。
「疲れてるなら、無理しなくていいんだよ。」
その言葉に、あゆみは思わず反発してしまった。
「無理してるとかじゃなくて……私、たまに分からなくなるんです。」
「分からなくなる?」
「子どもたちのこと、好きだと思う瞬間もあるけど……邪魔だって思う自分もいる。こんな気持ちで接しているのは、二人にとっても良くないんじゃないかって……。」
その言葉を聞いて、すばるは少し考え込んだ後、ゆっくりと答えた。
「君がどう感じているか、全部正直でいいと思うよ。無理に好きになる必要もないし、完璧な母親を目指す必要もない。子どもたちは、君がそばにいるだけで嬉しいんだから。」
その言葉に、あゆみは少しだけ胸が軽くなるのを感じたが、それでも完全に納得できたわけではなかった。
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