第15話 りおとの一幕

翌日、りおが「あゆみちゃん、お母さんみたいにして!」と言いながら、リビングで抱っこをせがんできた。


「お母さんみたいに……。」


その言葉が胸に刺さった。


あゆみは微笑みながらりおを抱き上げ、「こんな感じかな?」と笑顔を見せた。


しかしその瞬間、「お母さんではない自分」が強く意識された。


「私は母親じゃない。こんな気持ちで、二人に本当の母親のように接する資格があるのだろうか。」


りおが無邪気に「あゆみちゃん、大好き!」と抱きついてくる。


その純粋な愛情を受け止めながらも、あゆみはその言葉が重く感じられる自分を責めるしかできなかった。

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