茜色のそら~限界集落からホームステイ先の女子とガチ百合の恋愛になる件~

霜花 桔梗

第1話 運命の出会い

 私の名前は『松貝美鈴』今日は中学校の卒業式である。


 卒業生は五人、それぞれ進路は別だ。


 そう、住んでいる竹根村に高校は無く、私は東京の高校に通う事になったのだ。


 四月から東京で暮らすのだ、これはドキドキものだぞ。ホームステイ先は血の繋がりすら無い、かなり遠い親戚のお春さんの団地だ。


 卒業式が一通り終わり校門に立てかけてある。『卒業式』の前で記念撮影をしていると……。


うん?


 スマホに着信だ。この番号はお春さんからだ。


『あ、美鈴ちゃんかい?』

『はい』

『突然だけど、別れた旦那が交通事故で亡くなってね。私が一人娘を引き取る事になったの』

『え!?』

『三人で住むから狭くても良ければ……』

『大丈夫です、私はご飯さえ頂ければ元気です』

『そうかい、安心したよ。引っ越しは予定通りに進めるよ』


 年頃の女子と暮らすのか、これはワクワクものだぞ。


 その数日後、私は衣装ケースを見ていた。さて、困ったぞ。私の趣味はコスプレである。


 ネットで生地を注文してミシンから作るのが日課である。

S

 NSにも上げているが人気は無いに等しい。


 多分、画像加工をしていないから疲れた顔などがくっきりと写るのが原因らしい。

ま、過去は過去だ。


 これからの作品制作を頑張ればいい。気持ちを切り替えて、あれこれと東京に持っていく衣装を選ぶ。


 スク水は定番だし、魔法少女モノも捨てがたい。


 そう言えば、お春さんの話だと同い年の女子と一緒に暮らすらしいがコスプレしてくれるかな……。


 私はカレンダーに◯を付けて東京への引っ越しの日を待つのであった。


 そして、東京への出発の朝が訪れた。


 山間の道を駅までの道を軽自動車で母親が送って行ってくれた。先ずは駅まで出るのが大変だ。


 その後は電車を乗り継いで東京に向かう。


 車窓からビルが見えてくると憧れの東京に着く。


 えーと、私鉄に乗り換えてと……。


 朝早くに出発したのにもう暗い。最寄りの駅でお春さんと落合、バスに乗る。


 念願のホームステイ先の団地に着いたぞ。


 そこで出迎えてくれたのは都会の匂いのする女子で、髪は長く落ち着いた瞳にスレンダーな体は驚きであった。


 そして『佐和 夏美』と紹介された。


 嘘!!!顔を見たとたん恋に落ちた。


 一緒にバニーガール、イヤ、レースクイーン……。色々妄想しただけで御飯が何杯でも食べられる。


 私が夏美を観察してみると。口元に薄いリップが塗られていた。


「そのリップ綺麗ね」

「あ、ありがと」

「よかったら、貸してくれる?」


 と、会話が始まり。夏美はリックサックを取り出してそこからリップを取り出す。


 夏美は照れ臭そうに色付きリップを私に渡す。


 私はゆっくりと口元にリップを近づけると。唇に触れた瞬間に夏美がビクっと体を震わす。


 感じている、感じている。


 これは恋の予感だ。

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