第7話 校内球技大会開催!学校行事の時は、放送部の出番なのです!
二人のお陰で集計作業はスムーズに終わることができた!
「アンケートの集計が終わりました。これ、結果です。」
私は、井鹿先輩に集計結果とアンケート用紙の束を手渡した。
「おや、早かったね。もう少し時間がかかると思ってたけど。」
「へへへ。お友達に手伝ってもらいました。」
「なるほど。では、結果の方は生徒会でも活用させてもらうね。」
「はいっ!有り難うございました!」
これで、資料は手に入った!いよいよ私も原稿を書かねば。
☆
5月半ば。突然、放送部員全員に招集がかかった!一体なんだろう?理由も気になるけど、それよりも普段発声練習の時には見かけない男の子達がいるんだけど・・・誰?
「皆揃った?一年生は初めてだから、集められた理由がピンとこないよね?今週末に校内球技大会があるのは知ってるよね。大会の放送関係は私達放送部の仕事になるから、そのつもりで。大会当日の金曜日は、グランドに放送席を設営しなければならないから、朝は7時半に放送室に集合よ。」
神倉先輩が今日の招集理由を説明してくれた。そう言えば今週は球技大会があるんだっけ。Nコンに気を取られていてすっかり忘れてたなぁ・・・。
「特に、一年生の鯨山君、鰹島君、王子浜君は、上級生を積極的に手伝って、体育大会の時は一年生だけで設営できるように、今回しっかり覚えてね。」
「「「了解です!任せてください!」」」
「先輩!何で、三人を名指ししたんですかぁ?」
私は、いつもの癖で、すぐに手を挙げて疑問に思ったことを聞いてしまった。
「それはね、彼らが機材操作に興味があると言って入部してくれたからよ。」
神倉先輩の答えを受けて、鯨山君が補足してくれた。
「そう言うこと。栗須さんはアナウンスが活躍の場でしょ?それに対して、俺たちは、こう言う学校行事が活躍の場な訳。」
「ほへぇー、そうかぁ、機械の設営や操作も放送部の仕事なんだね。」
続けて、神倉先輩が衝撃の事実を教えてくれたのだ!
「栗須さん。私達は実はただの部活動の部員ではないの。“部局”の部員なのよ。」
ぶ、部局????何、それ???
「ほへっ?部活とどう違うんですか?」
「“部局”とはね、学校の運営に関わることを生徒も参加して行う組織のことよ。放送部は、部活動として活動すると同時に、今回のように球技大会や体育大会、文化祭などの学校行事、入学式や卒業式と言った式典の際に、放送設備の準備や設営、操作などを担当しているのよ。」
「ほへぇ、放送部って特別な部なんですねぇ。」
「部局は放送部だけじゃないのよ。学校新聞を作る新聞部、人権問題を学習して全校生徒に正しい人権意識を持ってもらうよう活動する人権教育研究部なんかも部局なのよ。」
「へぇぇぇ、そうなんだ。知りませんでした。」
「まぁ、知らない生徒の方が多いから。先生でも知らない人がいるもの。」
神倉先輩は、やれやれと言ったふうに肩をすくめていた。
「まぁ、機材の方は鯨山君たちがやってくれるから、栗須さん、鵜殿さん、三輪崎さんはアナウンスをお願いね。こう言う場数を踏むのが上手くなる早道だから。」
「はいっ!判りました!」
☆
球技大会当日の朝、いつもより早く紙織ちゃんと響子ちゃんと一緒に登校すると、すでに鯨山君たちが機材を放送室から運び出していた。
「おはよう!鯨山君。運び出す機材って結構多いね。」
「おはよう、栗須さん。これでも最低限度の必要機材なんだけどね。」
「何に使う機材なの?」
「えーとね。まず、これはミキサー。マイクやCDなんかの放送機器の音量や音質を調節するための機材だよ。」
「放送室にあるやつに似てるね。」
「ああ、マスターね。あれよりもこっちの方が性能は上だよ。専用機器だからね。」
「これは何?」
「これは、ワイヤレスチューナー。ワイヤレスマイクの受信器だね。これは知ってるだろう?CDデッキだ。CDを再生するために使うんだ。あとは、ワイヤレスマイク、ワイヤードマイク、マイクスタンド、それとコード類かな。」
「ほへぇぇー、これで最低限度なんだぁ。それでもたくさんあるねぇ。」
「うちの学校のグランドには、ラウドとレピーターがあるから、だいぶ楽だよね。」
「ラウドって何?」
「ラウドは、正式にはラウドスピーカー。屋外に設置されるラッパ型のスピーカーだよ。」
「あぁ、見たことある!あれって、ラウドって言うんだぁ。じゃあ、レピーターは?」
「グランドと放送室のマスターとを繋ぐ中継器だよ。グランドに設置されているラウドは放送室のマスターからの音がでているんだよ。だから、ラウドから音を出そうとすると、マスターを中継しないといけないんだ。でも、このレピーターとラウドがあるお陰で、アンプとスピーカーを持ち出さなくても良いから、だいぶ助かってるかな。」
「アンプって何?」
「アンプは、増幅器のことだよ。CDプレーヤーが、CDから読み取る音楽の信号は非常に小さいから、そのままではスピーカーから大きな音を出すほどの力はないんだよ。そこでアンプによって信号を増幅してスピーカーへと送って、スピーカーを鳴らすんだよ。」
「ほへぇ~、勉強になるなぁ。」
「じゃぁ、これからグランドでこいつらを組み立てて来るからね。」
そう言うと鯨山君たちは手分けして機材を担いで行ってしまった。入れ替わるように神倉先輩が紙の束を持って入って来た。
「はい、これ。今日の台本よ。」
「台本ですか?」
「そう。球技大会は開会式をやるから、その台本よ。予め何処を誰が読むのかを決めて、アナウンスの練習をしておきなさい。」
「「「わかりましたぁ。」」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます