マスク・アンド・ヒーロー
@KumoriSora1
プロローグ
オードリー島で、研究所がである。
それは太平洋の上に人造島だ。
いま、この瞬間全ては本当に混乱としている。
叫び声、恐怖に震える研究者たちの声、倒れたガラスと電子機器の音、すべてが混ざり合い、絶望的な音となった。
研究所の内部には今や正体不明コンピューターウイルスに攻撃されていた。それがどこから来てのか? なぜ現れてのか? 誰にもわからない。
ただ一つ確かなのは、そのウイルスがシステム内の全データを奪い去り、今では研究施設全体を掌握しているということだった。
銃型のセキュリティデバイスが、その銃身を研究者たちに向けて雨のように弾丸を発射し続けていた。
叫び声が何度も響き渡り、止む気配がない。弾丸が発射されるたびに人が倒れ、血が四方に飛び散る。瓦礫の上に積み重なった死体が、恐ろしい光景を作り出していた。
こうした状況は、今や非常に恐ろしい虐殺の現場となっている。
その混乱とした中に、男女二人の影が現れた。
頭から足まで砂埃に覆われ、服から漂う血の匂い。彼らはまるで奇跡的にその血みどろの虐殺から逃げ延びたようだった。
二人の耳には爆発システムのカウントダウン音が響いており、このビルがすぐに爆発しそうだと感じている。残された時間がほとんどないため、二人は一刻も早く脱出する必要があると認識した。
廊下には暗黒の空間が広がり、二人の唯一の光源である腕時計が懐中電灯のように光を放っていた。
「急がなきゃ! もうすぐここから脱出できるよ」
男の子を一歩一歩支えながら歩く女の子は、恐怖感を微塵も感じさせない声で話していた。
二人の目的地は、沖合に停泊している緊急用の救助船であり、それが彼らの生存を助ける可能性がある。
「ああっ! なんでこうなったんだ? 築き上げたものは全部なくなってしまった。俺の理想も、俺の願いも……くそおおおおおおおおお!」
弱い力で叫ぶ男は、その声の中に悔しさと激しい怒りを含んでいた。
「今は後悔している場合じゃないよ! 自分の犯した過ちを正さなきゃならないし、その上で自分が引き起こしたことに対して責任を負わなきゃいけない。だからこそ、最後まで生き残るために全力を尽くそう」
女の子の顔には、激しい確信が浮かんでおり、真剣なまなざしで男の子に言った。
「……やっぱり彼が言った通りだ。この実験は危険すぎる。もっと早くやめるべきだったんだ。全部俺のせいで、皆……全員が……死んでしまった。ああっ! くそおおおおおお、全部俺のせいだ!」
まぶたに涙が込み上げ、目が赤くなり、罪悪感と後悔が混じり合って、台詞が男の口から絞り出された。
「自分を責めないで! あたしだってこの危険を知っていたけど、それでもずっと一緒にいたんだ。だからあたしも責任がある。心配しないで、大丈夫になるから。最後まで一緒にいるから、安心してね」
「……」
女の子の温かい笑顔の前で、男の子は感情を落ち着け、自分の過ちを償うために生き残る決意を固めた。
出口が見えてきたとき、安心した様子を見せた。
女の子はガラスの壁越しに外を見やり、空から降る雪が地面を覆っているのを見た。
「急いで!」
男の子が女の子に促しながらドアノブを回した。
二人にとっての悪夢の夜が、もうすぐ終わろうとしていた。しかし、そのとき、突然背後から鋭い金属音が響いた。
男の子は振り返り、躊躇することなく全力で男の子をドアの外へ押し出した。突然押し出された男の子は雪の上に転がり、体に跡を残した。傷もさらに悪化していった。
辛うじて顔を上げた男の子は、自分を押し出した彼女の姿を見上げ、なぜそんなことをしたのかを考えていた。
すると、目に飛び込んできた光景はあまりにも恐ろしかった。男の子は呆然として、目の前の光景が信じられない様子で固まっていた。
先ほどまで一緒にいた女の子が、まるで針金のようなもので腹を貫かれていた。口から血が零れ落ち、廊下を赤く染めていた。
女の子は痛みのあまり声を上げることもできず、必死に痛みを堪えていた。
女の子は必死で立ち上がり、女の子の元へ駆け寄ろうとしたが、痛みと寒さが全身に染み込み、完全に無力になってしまい、ただ地面に横たわる彼女の死を見守るしかなかった。
二人の目が合った。女の子はひどく痛んでいるものの、最愛の男の子が無事であることにほんの少しの喜びを見せていた。
次の瞬間、カウントダウンが最終秒に達した。
ブーン!!!
研究所は即座に爆発し、破片が四方に飛び散り、衝撃波は周囲のすべてを吹き飛ばすほどの力を持っていた。男の子もまた、遠くまで巻き込まれていった。
燃え上がる炎の中で、女の子は目を閉じ、口の中で祈りながら、彼女の愛する男の子が生き延びることを願っていた。
そして——
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