テイマーは無意識に騒ぎになる

「主よ、朝だ」

「もうそんな時間か」


 俺はルリにギルドの話をしていたから起こしてくれたんだと思った。


「我もギルドという場所に言っても良いか?」

「もちろん、相棒だしな」

「やはり良い響きだ」


 ルリは気に入ってくれているみたいだ。


「ヒグレ草をどう売るかよなぁ」

「普通に売れば良いだろう」

「そう言ってもなぁレアな素材を今日から冒険者になる為に独学する奴が持ってきたら変だろ?」


 初ギルドなので絶対に目立つのだ。


「この森には結構生えてるぞ?」


 そうなのだ。俺が昨日ヒグレ草を採取してもまだヒグレ草はあるのだ。いや、昨日より増えている。


「この場所は凄いなぁ」

「もっと奥に進むと色々あるぞ?」


 こんなにあるならあの冒険者達も光癒ポーションを作れるんじゃないか?


「それは無理な話だな」

「どうしてだ?」

「あの冒険者達は我が見る限り初心者に近い」だからそいつらが主が言ったような良いポーションを持ってるとは思えんな」

「でもAランクポーションは無理でもDランクぐらいは持ってても可笑しくないと思うが?」

「それは可能性だな、そのポーションがどれほどの効果があるかは知らんが初依頼と言ってたから2つ買えなかったのじゃないか?」

「それならありえるな」


 ルリの話だと納得できるな。しかし突っ込みたいところがあった。


「何で思った事が分かるんだよ!」 

「相棒だからな!」 


 凛々しい表情をした。


 その後ぐだぐだと話していたら時間になった。

「冒険者ギルドに行く前に家に帰っとくか。」


 俺はルリの背中に乗り家に向かった。


 家に着くと父が待っていた。


「どうだ?森での生活は?」

「結構良いよ」

「後ろのスライム達はお前のか?」

「何が?」


 俺が後ろを向くと13匹スライムがいた。


「キュー!」

「何でいるんだ!?」

「気づいてなかったのか?『ウォーン?』」

「そりゃルリの背中にいただけだからなぁ。」

「テイムはしてないのか?」

「あぁ」


 父の質問に俺は答えた。


「てか、何で着いてきたんだ?」

「キュー」「キュー」


 俺の質問にスライム達は戯れあっていた。すまないが何を言っているか分からないな。


「助けてくれた恩返しがしたいと言っておる『ウォン!』」

「当然だし恩返しとか要らない。」


 俺がそう言うがスライム達は俺の足に頬ずりしているのだ。


「テイムをしてほしいらしい『ウォン』」

「皆に名付けないとダメなやつか?」

「このスライム達は家族だから1人だけで良い!『ウォン!』」


 スライムは分身して家族を作るのだ。だからか!


「なら、スイなんてどうだ?」

「キュー!」


 認めてくれたようだ。


「テイム出来たのか?」

「多分出来たと思う」

「キュー?」


 スイがどこに行くか聞いている。ん?スイの言ってる事が分かる。ってことはテイム出来たのか。

 意思の無い魔物でもテイマーなら言葉が分かる。


「冒険者ギルドで独学の許可をもらうんだ」


 俺がそう言うとスイ達も着いてくる騒いでいる。まぁ良いか。

 そうしていると父が聞いてきた。


「そろそろ行こうと思うが魔力は問題ないのか?」

「大丈夫だ」


 魔力の心配か。まぁ大丈夫だろう。


「良いなら行くか。てか余りやりすぎないようにな?」


 分からないような顔をしていると父から注意された。


「お前なぁ、ゴールドフェンリル一匹でもあり得ないのにスライムを13匹もテイムしてるんだぞ?」


 そう言われるとそうか……


 まぁ何とかなるだろう。


 話をしながら歩いて冒険者ギルドに行った。

 俺達はルリの背中にスイ達を乗せてギルドの中に入った。


「魔物だぁ!」

「逃げろ!」

「あれってゴールドフェンリルか?」

「伝説がいるわけねぇだろ!」

「じゃあなんだよ!」

「ウルフとか?」

「何で金色なんだよ!」

「知るかよ!」


 やばいルリがいるから周りがパニックだ。


「どうしたんだ?」

「ギルマス!」

「ゴールドフェンリルがいるんだ!」

「伝説がいるわけねぇだろ」


そう言い俺らの方を見た。


「いたー!皆、すまんが準備を!」


 これはまずい皆が戦う準備をしていた。

 何故かルリもその気で満々だし。

 やめてくれよ……


「待ってくれ!」

「お前は、グライか」


 そこで口を出したのはBランク冒険者である父のグライだ。


「そいつは俺の息子の従物だ!」

「いくらグライさんの息子が凄いからってないでしょ!」


 父の説明でも皆は可笑しいと思っている。


「俺が聞く」


 強面のおじさんがそう言った。


「俺はここのギルドマスターのダンだ!」

「俺はコハク、こっちはルリとスイだ」


俺は従物の紹介をした。


「ちなみにそのルリって子の種族を聞いて良いか?」

「ゴールドフェンリルだけど?」

「「「「「えーーーーーーー!!」」」」」


 他の冒険者達が驚いていた。


「それにスライムも君の従物か?」


 ギルドマスターが聞いてきたので頷いた。


「凄いな、10は超えているぞ」


 そう驚いていた。周りの空気も少し重たい。


「コハクが冒険者になりたいと言ってるから連れてきた」

「そうか!なら魔法を調べるぞ!」

「早くないか」


 俺は思った事がつい口に出た。


「このテイムの数をみると魔力量が半端ないからな、多分冒険者は行けるだろう」


 そうギルドマスターは言ってくれた。


 そして魔法を調べる事にった。


「本来なら他の従業員がするがコハクの結果はやばい可能性があるから俺が見る」


 ギルドマスターはそう説明した。


「この水晶に手を当ててくれ」


 言われるままに俺は水晶に手を当てた。


「これに手をやると使える魔法が出るってまじか?」

「どうだった?」


 一応知っているが聞いた。


「お前の魔法は炎、水、風、氷、雷、闇、光、無の全属性だ!」


 やはりか。


「とんだ規格外だな」


「冒険者になれないの?」


 俺はそう聞いた。


「いや、なれる!」


 ギルドマスターは言った。

 

 俺はギルドマスターと一緒に元の場所に戻った。


「魔法はどうだった?」


 父はいきなり聞いた。



「全属性だ」


 そうギルドマスターが言うと父も含め聞こえていた周りの者も驚いていた。


「当然だな!『ウォン!』」


 ルリは満足そうな顔をしていた。


「キュー!」


 スイ達は皆褒めてくれた。


「これがお前の独学許可書だ」


 ギルドマスターは父にそれを渡した。


「では、2年後にまたここで待っている!」


 そう言い俺と父を見送った。


「ヒグレ草を売りたいんだけど?」


 俺はヒグレ草を出した。また周りは唖然だった。


「お前には驚かされてばっかだな、ここより薬場ギルドの方が高く売れるぞ!」

「ならそっちで売るよ」


 ギルドマスターの言葉に俺は薬場ギルドに行く事にした。


 そこで俺は新たな力を得る事になる……

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