第8話
「どうだ? 玲。俺の姫は相変わらず可愛いだろ?」
「そうですね……」
「お前、本当に小学生のガキかぁ? 覇気がねぇぞ。そんな無表情じゃ女の子から嫌われっぞ?」
そう言って玲の頭をグシャグシャに撫でてくるのは、玲の憧れでもある人。
青嶺 來斗。
玲の父親の唯一無二の友。
喧嘩に暴走、何をやっても目立ち、関東一帯にまで名を轟(とどろ)かせた父親と肩を並べた程の男。
お互いを信頼し、どちらかが暴走すれば止められるのも2人のどちらかしかいない。
そんな2人でも、來斗は常に父を超えてやると野心を抱(いだ)いてたらしく、父に挑んでは毎度、苦杯をなめたらしい。
玲はそんな來斗を子供ながらも格好いい男だと思った。
男は常に上を目指す。
例え相手が盟友と呼ぶ友だとしても。
そんな“男”を玲は尊敬もしていた。
その來斗が大事にしている宝がいる。
正直女はめんどくさいし、特に学校の女はきゃあきゃあ喚いてうるさい。
だから同年代の女は全くと言っていい程興味もなかった。
そんな玲が何時しか気になる存在になったのが、來斗の宝“青嶺 リリ”だった。
來斗から聞かされる娘の話は、語り出したら止まらない程で、青嶺 リリの好きな物や、人間性を良く知ることが出来た。
そして何よりも、その外見がより一層玲の目を奪った。
ハーフと見紛う程の色素の薄い髪に、瞳。
透けるような肌の白さ。
写真でしか見てないし、写真写りがよっぽどいいのかは分からないが、女を見て綺麗だと思ったのは初めてだった。
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