障害年金暮らしの僕が考える貯金

星咲 紗和(ほしざき さわ)

本編

「貯金」という言葉を耳にすると、多くの人は「お金をためることは大事」と頭では理解しつつも、なかなか実行に移せないものではないでしょうか。特に収入が限られている状況では、貯金という行為そのものがハードルに感じられることもあります。僕自身、障害年金を受け取りながら暮らしている中で、貯金について真剣に考え始めたのはごく最近のことです。正直なところ、日々の暮らしのやりくりだけで精一杯だった時期もあります。でも、だからこそ「少しずつでも未来に備える」という考え方が大切なのだと気づきました。


今回は、障害年金で暮らす僕が日々実践している「無理のない貯金の工夫」や「節約の楽しみ」についてお話ししようと思います。お金の余裕があるからこそ心の余裕が生まれるのではなく、限られた中で工夫することによって得られる安心感があることを、僕自身が体験を通じて感じています。


1. お金の流れを「見える化」する


最初に取り組んだのは、自分のお金の流れを把握することです。障害年金は毎月決まった日に振り込まれるため、収入は予測しやすいものの、出費に関しては意識しないと無駄が発生しやすいと感じました。そこで、まずは家計簿をつけることを習慣化しました。


今の時代、家計簿アプリを使えば簡単に管理できます。僕の場合、スマートフォンのアプリで食費、光熱費、趣味、医療費などを細かく分類し、月ごとにどれくらい使ったかを確認しています。この「見える化」をするだけで、何にお金を使いすぎているのかが一目瞭然になります。特に、気づかないうちにコンビニで小さな出費を重ねていたことに驚きました。「少額だから大丈夫」と思っていたものが、月末には意外と大きな額になるのです。


家計簿をつけることで、自然と「これは本当に必要か?」と考える癖がつき、無駄遣いを減らすことができるようになりました。


2. 「計画的な買い物」の重要性


買い物をする際、僕が意識しているのは「計画的に買う」ということです。障害年金は生活を支えるための大切なお金なので、衝動買いはできるだけ避けるようにしています。例えば、スーパーに行く前には必ず買うものをリストアップし、それ以外のものはできるだけ買わないようにしています。


また、食品に関しては、まとめ買いをして冷凍保存したり、特売日を狙ったりすることでコストを抑えています。たとえ少額の節約であっても、積み重ねると大きな違いになります。僕の場合、1か月で数千円の節約に成功したこともあり、これがそのまま貯金に回せるお金となりました。


3. 貯金の「ルール」を決める


貯金を続けるためには、自分なりのルールを決めることが大切です。僕が実践しているのは、「毎月障害年金の中から決まった額を貯金する」というシンプルなルールです。例えば、「月に1万円貯金する」という目標を設定すると、そのために他の出費を調整する意識が生まれます。


最初は少額からでも構いません。5000円でも3000円でも、貯金が増えていくこと自体がモチベーションになります。実際、僕は最初の頃、「500円玉貯金」から始めました。500円玉を見つけるたびに貯金箱に入れるという小さな習慣ですが、半年後には数万円貯まっていた時は感動しました。


4. 節約は「楽しむ」もの


節約というと、「我慢する」「生活の質を下げる」というイメージを持つ人もいるかもしれません。でも、僕は節約を「楽しむ工夫」として捉えています。


例えば、外出時の飲み物はペットボトルではなく、水筒に自分で淹れたお茶を持参します。このちょっとした手間で数百円の節約になりますし、環境にも優しいです。また、自炊をすることで料理の腕も上がり、食事の楽しみが増えました。特に、スーパーで安く買った食材を使って新しいレシピに挑戦するのは、節約と趣味を兼ねた楽しい時間です。


5. 未来への「小さな安心感」


お金を貯める目的は人それぞれだと思います。僕の場合、「急な出費への備え」や「将来への安心感」が主な理由です。例えば、病気が悪化したり、予期せぬトラブルが起きたりした時に、「貯金があるから大丈夫」と思えることが心の支えになります。


障害年金という限られた収入の中での貯金は簡単なことではありませんが、少しずつでも増やしていくことで、「自分の人生を少しずつ整えている」という実感が得られるのです。


最後に


貯金とは、単にお金をためる行為ではなく、「自分の暮らしを見直し、未来の自分を大切にする」という行為だと思います。障害年金暮らしの僕にとって、貯金は特別なことではなく、日々の小さな選択の積み重ねの中で実現できるものだと感じています。


このエッセイが、同じように限られた収入で暮らしている人たちにとって、何かしらのヒントや励ましになれば嬉しいです。そして、未来への小さな一歩を一緒に踏み出していけたらと思います。

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障害年金暮らしの僕が考える貯金 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92

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