第13話 政宗襲われる 修正版
23年に発表した「政宗が秀吉を殺していたら」の修正版です。実はPCの操作ミスで編集作業ができなくなり、新しいページで再開したものです。表現や文言を一部修正しております。もう一度読み直していただければと思います。
空想時代小説
松本城での戦いはあっけなく政宗勢の勝利となった。元々真田家の城であり、抜け穴を知っていたからである。その知らせを受けて、政宗は
「これで振り出しにもどった。これからは、こっちが攻める番だぞ。待ってろ秀忠」
意気込む政宗であったが、残念な知らせもあった。鉄板を張り付けた安宅船が三浦沖で横波を受け沈んでしまったのだ。湾内では、波がおだやかで問題はなかったが、外海にでると波が荒く、鉄板で重くなった船は復元力が少なくなっていたのである。これで尾鷲攻めは、しばらく日延べとなった。
数日後、幕府から今回の件は、水野氏と本多氏の勝手な戦いであり。副将軍とともに裁きをしたいので、上洛してほしいという書状が届いた。本多氏は伊勢桑名城主なので、それもあり得るが水野氏は備後福山城主である。信州からほど遠い地から幕府に無断で進軍できるわけはなく、勝手な戦いというのは誰がみても欺瞞とわかった。
政宗は心労がたたり、寝込んでいるので上洛できぬ。と返書を書いた。その後も正月にあたり、年に一度の話し合いをもちたいという書状もきた。その際には、今回の不可侵同盟を破った二人の武将にどういう裁きがされたのかを知りたいという返書を書き上洛しなかった。その後も何度も上洛の誘いがきたが、その度にのらりくらりとかわしていた。
江戸城では警備が強化された。警護の兵は寝ずの番をするようになり、屋根裏には忍び除けの仕掛けがされた。もちろん政宗配下の忍びも多くの場所に配置されている。政宗は毎晩寝る場所を変えた。それでも敵の忍びはやってきた。昼に神楽の宴があり、その集団にまぎれ込んでいたのである。その際に、政宗の顔を確認し、一人の忍びが城内に残り、政宗の寝所をさぐりあてた。丑三つ時に10人ほどの敵の忍びが現れた。二手に分かれ、一団は警護の兵を音もなく仕留めた。もう一団は政宗の寝所の屋根裏に忍んだ。今まさに板をはずして、政宗に襲いかかろうとした時に、政宗の警護の忍びが異変を感じ、呼び笛を鳴らした。
政宗はとっさに飛び起き、刀の鞘で敵の初太刀を受けた。隣室で控えていた警護の武士も気が付き、忍び集団との斬り合いが始まった。灯りがないので、黒装束の忍びの姿は分かりにくい。警護の武士たちが一人、二人と倒れていく。政宗は走った。二人の警護の武士がついてきている。外の警護の武士はすでに倒されたようだ。まずは灯りのある場所へ、政宗は今までにないくらい急いで走った。城内は曲がり角が多く、曲がった先に敵がいるかもしれぬが、このままではやられる。と政宗の感性が訴えている。すると、ぼんやりと灯りが見え、政宗はそこに飛び込んだ。愛姫(めごひめ)の部屋である。そこにはお付きのくの一に守られている愛姫がいた。
「お館さま!」
愛姫の叫びがとんだ。政宗はハーハーと息を切らしながら
「敵の忍びじゃ。武者どころへ走れ!」
と一人のくの一に命じた。政宗についてきた警護の武士は敵と斬り合っているのか、刀のふれあう音だけが聞こえる。しばしの静寂が政宗と愛姫を包んだ。二人で肩を寄せ合っているのは何年ぶりだろう。二人の間には、五郎八姫(いろはひめ・22才)と忠宗(16才)の二人の子がいる。愛姫にとっては、高齢出産で、その後政宗とは仲睦まじく夜を過ごすことがなく、久しぶりに寝所に政宗が来てくれたことに喜びさえ感じていた。政宗はそんなことはおかまいなしに、荒い息をはきながら刀を構えている。そのうちに武者どころから多くの武士がやってきて、政宗を守った。半刻(1時間)ほどで、騒動はおさまった。いたるところに警護の武士が倒れている。敵の忍びは5人倒れている。いずれも舌をかむか、喉元をかききるかで絶命していた。つかまって黒幕を知られないためである。だが、徳川の忍び集団服部半蔵(40才)の配下であることは明白であった。
朝になり、武者どころの一室で、警護主任の桜田氏(41才)が割腹していた。政宗はそれを見て、手を合わせながら
「死ぬことはなかったのに・・隠居するだけでよかったのに・・」
ともらした。
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