リセーブリロード 〜有限なる繰り返しの世界で最善の未来を目指す〜
荒川リュウガ
第1話 再開
頭の中で、見知らぬ情景、聞き知れぬ声、
在るはずの無い記憶が入り乱れる。
「お前が犠…………になって何に……る……!」
……なんだ………?
「我は信じ……お前がすべての……許……!!!」
誰の……声だ…?
「そうして君く…は僕りんを置い…くんだね…」
誰だ…知らない………忘れ……た?
「貴方に賛辞を……希望が絶……甘美なる………
貴……方の意思…素晴ら………愛おしい………」
……………あぁ……………………やだ……
「きっとそれだけだ……んだ…それだ…の………」
ぅ………………………あぁ……………………
「イヤだよ…ボクは…
それでもオルオルの…竜でいたい…」
…………やめろ………………………
「約……束が…う!!テメェは絶……殺す…殺…」
…………………………………
「私はまた…あなたと共に……ごめんなさい……」
…………………
…………
……
「………は…………?」
気がつくと俺は、異様なほどに広く暗い空間にいた。
「…どこだ?…ここは………」
くそ…直近の記憶がない…。
頭に霞がかかったような感覚だ。
ッ…!それに頭痛も…
頭を殴られでもしたのか…?
まさか…誘拐…?!
「…………………」
………声を出すのはまずいか…?
ッ…!頭が……!
と…とにかく今はここから出ないと…
そんな事を考えていると突然、
この空間全体にノイズの様な音が鳴り響く。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ズザザザザザ…………………ザザザザザ…………
ズザザザザザ……………ザザ………承認しました。
識別番号:355
種族名:
個体名:
の覚醒を検知。
誓約に則り、
対象個体に『
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
淡々と、それでいて無機質気味な、
聞き覚えのない女性の声が、空間全体に響き渡る。
誰だ…?声からして女か?
一体どこから喋ってる…?
名前も知られてるし、
こっそり抜け出すのは不可能か…。
だったら声を出さないでいる意味もない…。
それならいっそ、会話を試みてみるか…
もしかしたら脱出の糸口がみつかるかもしれん…
「あ…あんたは誰だ!
ここはどこだ!俺に一体何をする気だ…!!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
対象個体からの問を検知。
回答。
私は概念であり、実体を保たない存在です。
故に、個を識別するための名は持ち得ていません。
「ここは何処か」の問に関しては、
誓約に従い、回答できかねます。
次に『
事前説明を致します。
あなたには、今から下界に降りていただく前に、
リストの中から任意で『スキル』を選択していただきます。
選択可能なスキルの数は計3つです。
既に取得済みのスキルなども考慮し、
慎重に選択してください。
選択確定後の変更はできません。
あなたには元いた世界とは違う、
いわゆる異世界へと強制転移させていただきます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……は?!待て待て待てっ!!
スキル?下界?い、異世界……………?
あんた何言ってるんだ?!」
この女はさっきから何を言ってるんだ…??
そもそも俺はどこにでもいる様な
普通の高校生だぞ…。
スキルなんて非現実的なモノ
持ってるはずないだろ…!
それに異世界に転移させるって言ったか…?
なんだ…そんなこと、現実で起こるはずが…。
困惑する俺を気にも留めず、
話は淡々と進んでいく。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
あなたが現在保有しているスキルが
記載されたリストと、
これから選択していただくスキルが
記載されたリストを共有致します。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そう言い終わると、
俺の目の前にリストが表示された。
まるでゲームみたいだな…
俺は表示されたスキルリストに目を通す。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■スキルリスト■
【保有スキル】
・
・
・
【選択可能スキル】
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
このリストに記載されていることが本当なら、
どうやら俺は
既にスキルを3つ保有しているらしい。
それにしてもこのリスト、
スキルの名前だけで、
それ以外の大事なことが何一つ載ってないな…
これじゃあ肝心のスキルの中身が
分からないじゃないか…。
「これ、
スキルの詳細はどうやって確認すればいいんだ?
選択するにしても、
中身が分からんと選びようがうがないぞ!」
………静寂が続く。
どうやら今回の質問には答えてくれないようだ。
まったく…、「慎重に選べ」と言っておいて
スキルの詳細を教えないなんて、
慎重に選ばせる気が本当にあるのか?
まぁ幸いにも、リストの中身は日本語で
表記されてるみたいだし、仕方ない…
文字面だけで選んでみるか…。
それにしても異世界転移…。
創作の世界限定の話かと思ってたけど、
まさか現実で、しかも自分の身に起こるなんて…。
…………まぁ…正直。異世界転移は夢ではあった。
別に元の世界の暮らしに
嫌なことなんてのはなかったが、
アニメ好きの俺としては魔法が存在する世界は
夢の塊だ。
夢にせよ、現実にせよ、
楽しむに越したことないか…。
そう気持ちを切り替えた俺は再度、
目の前のスキルリストに目を向ける。
異世界に行くなら、
強そうなスキルを選ぶのが定石。
まずは、このみるからに強スキル感漂う
『
これは強いに決まってる。
次は…そうだな…『
これも同じく文字面的に、強いに決まってる。
元来、時間を司る系の能力は、
チートと相場が決まっとるからな。
最後だが……これは悩むな…。
正直どれも魅力的…。
安定して便利そうなのはやっぱり『
いやでも…最後はロマンスキルを選びたい気も…。
そうなると『
でも、
カマセスキル感があるんだよなぁ…。
そうなると
ロマンスキルとしては優秀か…。
「…………………………よし!決めた、宣言する。
俺は
3スキルを選択する!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
承認しました。
対象個体『
宣言されたスキルの付与を開始します。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
突如として俺の身体が光り出す。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『
誓約に従い、対象個体を下界の
『ケイティニア
…………転移中断……リクエスト承認。
転移前に、追加の補足説明を開始します。
下界で自身のステータスを確認したい際は、
『ステータス』と唱えてください。
スキルには『常時発動型』と『任意発動型』の
2種があります。
自身の保有するそれぞれのスキルが、
どのタイプなのかは、
ステータスにて確認ください。
補足説明終了。
転移を再開します。
それでは、よい……ザザザ……ザザ……………を。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
女の説明が終わると、
より一層、眩い光が俺の身体を包み込む。
…………………。
気が付くと目の前には、
美しい街並みが広がっていた。
その街の風貌はファンタジー世界そのもので、
俺にとっては心躍るものだった。
ここで俺は新たなる人生を歩むのだと浮足立った。
これから起こる、まだ見ぬ地獄に背を向けて…。
次の更新予定
2024年12月5日 20:00
リセーブリロード 〜有限なる繰り返しの世界で最善の未来を目指す〜 荒川リュウガ @aracawa-ryuga
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