7章 学校のテストは制限時間に解けるよう作成される
第0,03章
入滅
頂いたスーカラマッタヴァはわたしの分だけ残してあとは土の中に埋めなさい
みんなは決して食べないよう
それはわたしだけがいただこう
そのスーカラマッタヴァはずっとわたしが求めていたもの
(これでまぼろしでさえ無くなる。空でなく無に帰る)
あなたたちにはまだはやい
涅槃経
第17.00章
学校のテスト問題は制限時間内に解けるよう作成される
いをりは風花を残して駆け出した
なぜこの道はまっすぐなんだ
喪服の男性、ウェディングドレスの女性
棺の老婆、そして出産間近の女性
あの人たちはわたしたちを見てるんじゃない
いをりは全力疾走をやめたかった
巫女さんは走ったりしない
弓道部はジョギング練習しない
そして茶道部は、
いをりは制服のスカートのまま走っている
おねえは周りが真っ暗でいつ発作が起こるか分からないまま
今もめちゃくちゃ寒いはず
パニック発作が起こっても不思議じゃない
わたしたちに姿を見せた人たちの共通点は?
どうしてわたしたちに危害を加えない?
喪服の男も新婦もお年寄りも、妊婦さんも、もしかしてあれは胎児も
考えろ考えろ考えろ
いをりは無数に生えている木の根をローファーでかわしながら走った
が、次の瞬間かわしきれなかった隆起につま先を取られ
走り幅跳びのよう宙に浮き受け身も取らずに前のめりで上半身から着地した
右頬の擦り傷から血がたれた。その姿勢のまま固まっていたいをりは
スイッチが入ったかのように落ちているスマートフォンに向かいふたたび走りだした
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