第2話 バイオモニタリングメダカと魚の性転換

 私が所属しているのは、某大学の理学部の水環境の研究室である。そして私は、その研究室に所属する大学院生である。

 

 「光るメダカ」は、研究目的で遺伝子組み換えにより作られたもので、これを観賞用に飼ったり、販売したら、カルタヘナ法違反になる。

 実際にこの法律に違反して逮捕された販売業者がいる。

 また、「光るメダカ」の卵を学生が持ち出して、ふ化した「光るメダカ」を学生のおばさんが飼っていたということで、卵を持ち出された国立大学が処分を受けている。

 

 なぜいけないか・・・それは本来地球上に存在していなかった種が交配を重ねることにより、とんでもない生物になる可能性があるからである。


 魚が性転換する話はご存じかと思われますが、それは急激な環境変化、すなわち環境ストレスによるものである。

 ふ化して何日か経ったヒラメのいる水槽の温度を高く(一般的には25℃以上に)すると、メスのヒラメがオスに性転換します。

 それでは熱い所に住んでいるヒラメはオスが多いのかというとそうではなく、雌雄比は、ちゃんと1:1なのです。

 

 クロダイの性転換は、もッといき(?)で、メスの大きなクロダイをメスしかいない水槽に入れたら、その大きな個体はオスに代わります。その個体を次にオスしかいない水槽に移すと、その個体はまたメスに戻ります。


 「生物は種を残すために生きている」という哲学者がいますが、それは案外当たっているかもしれません。



 私たちが大学で、遺伝子操作によって作って飼っている「発光するメダカ」は、環境モニター用のメダカで、学外への持ち出しは禁止されています。

 メダカは本来環境変化に敏感な生き物ですので、水温のみならず、メダカが住んでいる水中への有害元素の流入や放射線の照射に反応して発色するようにしたのが、いわゆる環境モニター用の「発光するメダカ」になります。

 

 しかしながら、バイオテクノロジーの研究室には一つ大きな問題点があります。

 それは、お盆も正月もなく、研究室で飼っている生物には、毎日、餌をあげないといけなという点です。


 鉱石から金属を取り出す、「金属製錬」の世界でも、バイオリーチングといって、バクテリアに鉱石を分解させて、金属を水溶液中にイオンにして溶け出される方法があります。この研究室でも、毎日バクテリアに給餌しなくてはいけません。

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