第2話 バイオモニタリングメダカ
私が所属しているのは、某大学の理学部の水環境の研究室である。そして私は、その研究室に所属している大学院生である。
「光るメダカ」は、研究目的で遺伝子組み換えにより作られたもので、これを観賞用に飼ったり、販売したりしたら、カルタヘナ法違反になる。
実際にこの法律に違反して、逮捕された販売業者がいる。
また、「光るメダカ」の卵を学生が持ち出して、ふ化した「光るメダカ」を学生のおばさんが飼っていたので、卵を持ち出された大学が処分された。
なぜいけないか・・・それは本来地球上に存在していなかった種が交配を重ねることにより、とんでもない生物になる可能性があるからである。
魚が性転換する話はご存じかと思われるが、それは急激な環境変化、すなわち環境ストレスによるものである。
ふ化して何日か経ったヒラメのいる水槽の温度を高く(一般的には25℃以上に)すると、メスのヒラメがオスに性転換する。
それでは暑い所に住んでいるヒラメはオスばかりかというとそうではなく、雌雄比は、ちゃんと1:1なのである。
私たちが大学で遺伝子操作によって作った「光るメダカ」は、環境ストレスがかかった時に光る、環境モニター用のメダカで、「バイオモニタリングメダカ」と呼ばれている。
「光るメダカ」は、その卵も含めて、学外への持ち出しは禁止されている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます