電子仮面のその裏で
千秋亭楽市
第1話
※※※
私の祖母が二十代だった頃、世の中にはアナログなものが今よりもずっと沢山あったらしい。
紙の書籍や手書きの絵画など、今では『古典』と捉えられているものが、その時代の『普通』だったという。
そんな中でも、私が特に驚いたのは、ファッションとメイクの二つだった。
祖母の時代の人達は、異なる洋服を何着も持っていて、メイクをする際は自分の顔に直接ファンデーションや口紅などの顔料を塗っていたらしい。
なんとも非効率で、サステナブルでない時代だろう。
今なら、どちらもアプリで一発なのに。
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