チュンの見解

熊は手を煮込んだ

第1話 電線

 チュンは飛んでいた。


 風を切り、風を感じて、まるで自分がこの世で一番早いかと思えるほど、速く、速く飛び回っていた。


 そしてしばらく飛び回り少し疲れてきたところで、どこかに止まり羽を休めようと辺りをに回した。


 するとちょうど近くに電線を見つけた。


 何気なしにチュンはその電線に止まり羽を休めていた、だがチュンは思った。

 なんなのだろうかこの黒い物体は、と。


 いつもは何にも考えず、ただ便利な何かとしか考えず止まっていたこの黒い線、これは一体なんなんだ。


 チュンは突然不思議に思い、考えるのが止まらなくなってしまった。


 この黒い線、この少しプニプニしていそうだが触ると硬いこの線、思えばこの線、前まで無かったと思えば突然増えていたり、お気に入りの場所としてよく使っていたのに突然どこかに消えていたり。

 もしかするとこの線は動くのかもしれない。


 僕が夜寝ている間、新しい住処を探して動き回っているのだ、きっとそうだ。


 そうしてもう一つ、チュンは気付いた、この線、たまに何か棘のようなチクチクとした物が付いている時がある、アレはなんだ、と。


 チュンはいつも思うのだ、あの棘があるせいで羽が休められないではないか、もう少し棘を止まれるほど短くしたらいいではないかと。


 チュンは考えを戻し、あの棘についてまた想像した。


 あの棘は一度生えたら無くなるところを見たことがない、僕みたいに毛の生え変わりかと思ったが、無くならないのでは生え変わりとは違うか。


 そこでチュンは思い返した。


 さっきこの黒い線は夜中移動していると分かった、という事はきっと生きているはずだ。


 そしてチュンは答えに辿り着いた。


 この棘はきっと成長の証なのだ、この線が大人になった証なのだ。


 謎が解けてスッキリしたチュンは辺りを見回した、するともう日が沈みかけていた。


 考えすぎてしまった! 早く寝床に帰ろう。


 チュンは電線から飛び立った。


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