海の墓場

@HANAMIHANATABA

第1話

 ──ここは、どこだと思った・・・・でもすぐにわかった。


薬もない。金もない。何もなくなった私は、全てを売り払った。最後は少しだけ贅沢してから死んでやろうと思った。

船に乗り、船の中でディナーを楽しんでいた。ワインの味を舌で味わい・・・その時だった。

──船が沈没した。

ぼんやりと覚えている。白いローブを纏って神話に出てくる死神の鎌を持った巨大な巨大な・・・。

そこで夢は終わった。私は白い砂の上で寝ていた。起き上がる私は何もない光景に唖然とした。

──二日目、ここに来てからずっと歩いている。ひたすら前へ、ひたすら前へ、この正気がこの狂気にいつまで耐えられるかわからない。それから幻聴が聞こえるようになった。果てしない悲鳴、薄い殺意、薄情な自己責任。私が歩いている。踏みつけにしている白い砂の正体は、骨粉にされた人骨だった。そして、白い砂は、世界の果てまで続いている。ここは、そう『海の墓場』だった。

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