第216話

ハイネside



……ここ、どこ?



あたしは周りを見回し途方にくれた……。




八雲さんに救われて、伊藤海斗さん凛さん夫婦に引き取られて。



"シャーウッド"で働かせてもらえるようになって数日が立ったある日。



今日は定休日で、八雲さんも学校へ行ってるから1人で街を散策に来た……はいいけれど迷った。



買い物……見るだけだけど。



こんな自由に歩き回れるのは久しぶりで、ついハシャいでしまって。



……これである。



たくさん人が歩いてるけれど、知り合いなど居るはずもなく……。




むー、どうするかな?



ケータイを持ってないあたしだ。



八雲さんに連絡しようにも公衆電話を探さないとだし。



電器店にある大型TVに映っている時間を見ると、まだ13時くらい。




あっ。


楽しくてつい昼御飯を食べるのを忘れていた。



ご飯のことを思い出すと、現金なあたしのお腹は"グゥウウウッ"と空いていることを主張してきた。



よしっ!


ここで突っ立って悩んでても仕方なし。


ご飯でも食べながら考えよう!!



そうと決まれば、あたしは今度は何を食べるか悩むのだった。




八雲さんはー。



今、勉強中かなぁ。




会いたいなぁ……。












海誠高校



「帰りたい」



「突然どうしたよ?てか、サボってる奴の言う言葉じゃねぇな。八雲」



「帰りたい……」



「帰ったらチビに怒られるぞ。サボったんですか!?ってな」



「……」



「自分が出来ない分、しっかり勉強してきて下さいね!って言ってたよね」



「……」



「良い子っ。良い子だよなぁ、チビネはっ」



「ちょっとー。泣くんじゃねぇよバカ蓮。って、俺の服で鼻水拭くなっ」



「うるさいよ、二人とも」



「はぁ……」



「「「「…………」」」」



「帰りたい。ハイネに会いたい」



((((重症だ……))))

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