第190話
あなたが好きです。戦国編
「桜っ。桜ーー!!」
「政宗様。そんなに叫ばずとも聞こえます」
「おおぅ!?」
私は音もなく政宗様の後ろへ。
びっくりされる政宗様…………。
「なんて格好をしてらっしゃるのですか……」
私の方がびっくりした。
本当にこの御方は……キテレツと言うか……破天荒と言うか。
絶句していれば
「今日は猫の日らしいぞ」
「猫の日……ですか」
だからそんな猫耳にしっぽまで着けてるんですか……。
何か化け猫のようですね。
何故に女中達はキャーキャー騒いでいるのか。
やれや……
「お前も着けれ」
「はっ?いやいやそんな」
馬鹿みたいな……
「あのことを成実に言うぞ??」
「っっ!?」
こっっこの主っ!?
「小十郎も見たいよな?」
「えっ!?いえっ!!私はそんなっっ」
「ほれ」
「えーーーーーーー……」
こんなの着けて何が楽しいんだ??
「おおっ。似合うじゃねぇか」
「そうですか……」
「なっ小十郎!」
「っっ///」
「で?もういいですか?」
「いやいやもう1人見せねぇと♪」
「へ?」
ニヤっと笑う政宗様。
この御方がこんの笑いをするときはっ。
「ヘイッ!!成実っ!!」
そう言ってぱちんっと指を鳴らした。
「どっっ!?えっっ!?にゃっ!?」
いやーーっ、こんな姿っ
がしっ!!
忍んでやろうとしたら政宗様に捕まった。
忍失格!!
「ぐぇえっ!?絞まってま……すっ、絞まってますよ……政宗……様」
「おおっ。悪い悪い」
腕が緩むも離してもらえずっ!!
「政宗ー??」
ああああっ来てしまった!!
正真正銘我が主!!
がらっと襖が開いて
今日も凛々しい……凛々……
「ブハーーーーーッ!?」
吹いた。
鼻血を。
だって、何故か成実様も着けてるんだものっ。
良いっ!!
良いっ!!
かーーーわーーーいいいっ!!
おもわず政宗様と固く握手を交わした。
良き、良き仕事を為されました!!
「おっ桜」
「成実様っっ」
着けてるだけなのに、猫耳がぴんっと立った。
嬉しくてしっぽがぶんぶんと左右に揺れる。
「居ねぇと思ったらこっちに居たのか」
「はい。政宗様に呼ばれまして……」
「桜は黒猫か。似合ってる、綺麗だな」
ふんにゃりと一番大好きな笑顔で、そんなっっ!
「にゃあーーーーーーーっ!!」
「おっ、本当に猫になった」
あはははははっと主達が朗らかに笑う。
それだけで幸せ。
破天荒な主達。
でも大好きな主達。
ずっとずっと、この人達とーーーー。
「……私は」
「おおっ、小十郎!お前も着けてみるか!?」
1人何も着けてなくて寂しそうにしてる小十郎様に政宗様が言う。
えっ!?小十郎様がっ!?
あなたが好きです。
戦国編[完]
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