乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、複雑すぎる政治に翻弄されています!うろおぼえ原作知識でなんとか破滅回避する
@yuurin1108
転生
ある乙女ゲームをしていた記憶。
そのゲームに出てくるキャラが好きで、攻略を見ながら頑張ってプレイしてた記憶が蘇る。
『お前こそ全ての元凶! 消えろエリザベートォ!』
歓声の中、剣が振り下ろされ、紫のドレスを着た女性が目の前に倒れる。倒されたのはこのゲームの悪役令嬢─そしてその顔は私自身だった。
16歳の誕生日のパーティの最中、私エリザベート・ウィトゲンシュタインは唐突に前世を思い出した。前世の私は同い年の高校生。乙女ゲームとか乙女向けのラノベが趣味な普通のオタクだった。唐突に事故にあって死んじゃった記憶がある。
そして思い出せば、この世界は乙女ゲーム『神聖アインス帝国恋物語』そのものだ。あの時、絵の綺麗さに釣られて手を出したけれど、設定が複雑すぎて攻略サイトなしでは無理だった、あの乙女ゲーム。キャラは好きだった。声優もあっていた。でもどのルートも設定を投げ出して唐突なハッピーエンドになっていた。
そして、私の名前も覚えがある─エリザベート。攻略対象たちに憎まれ、破滅する悪役令嬢だなんて!
「どうしよう、あのゲーム分かんなすぎて攻略見ながらやってた気がする……」
急に前世の記憶を思い出してしまったので、びっくりしてお水をこぼしてしまった。
「申し訳ありませんエリザ様! 私めになにかご不満でもありましたでしょうか?」
おつきの侍従を怖がらせてしまったらしい。気にしないでほしいが、今までさんざんいろんな人をいびってきた実績がある。怖がらせちゃってごめんね……と言うとびっくりされてしまった。
私はパーティが終わってすぐ、自分の書室に向かっていた。歩くたびに髪や胸が揺れる感覚が新鮮で落ち着かない。
鏡を見て息を飲む。紫の髪、つり上がった目、長い手足に大きな胸。前世とは似てもつかない怖い私の顔。間違いない。あのエリザベートがそこにいた。
どうしよう。今までのやらかしが頭をよぎる。
取り巻きを作っては気に入らない格下の貴族に嫌がらせをして、贅沢三昧。いびってやめさせた使用人や家庭教師は数しれず。前世とは似ても似つかない性格になぜ生まれてしまったのか謎すぎる……。
私は自室の本を見ながら、前世の知識を可能な限り紙に書いていく。
ネットで見た考察記事とこの世界に来てからいやいや受けていた歴史の授業の知識とが頭の中で融合していた。
そのネット記事には『神聖でもアインス(1つという意味らしい)でも帝国でもない』と書かれていた。
神聖ローマ帝国? ってのがモチーフらしく皇帝の代わりに議長という役職があるとかいろいろ書いてあったけどちゃんと見ておけばよかった……。
私は自室の歴史の本を取り出して、それを読みふけりながら前世の拙い記憶を思い出そうとする。
攻略対象は5人。学校で愛を育むストーリー。でもルートの詳細な内容はまだ思い出せない。でも確かどのルートもヒロインと恋仲になって……悪のエリザベートが嫌がらせとかして……最後にはエリザベートを断罪してハッピーエンド。複雑な設定を放り投げてのルートの評判が悪かったのを覚えている。
っていうことはこのまま進んだらこれ私は確実に殺されるんじゃ!?
だとしたらやるべきことは一つ! 破滅を回避すること! そのために(うろ覚えだけど)前世のゲーム知識を使って上手く立ち回らなくては! でもどうすれば破滅回避ができるんだろう……?
その日は結局朝まで悩んだが、新しい情報は出てこなかった。
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