~無機質への思春(はる)~『夢時代』より冒頭抜粋
天川裕司
~無機質への思春(はる)~『夢時代』より冒頭抜粋
~無機質への思春(はる)~
その身の陰(かげ)から連呼が成り立ち、幻想(ゆめ)と生絆(きずな)の静まる美声(こえ)から過去の人形(かたち)が自由を掲げて、一人(ひと)に息衝く無言の縁者は生図(きと)を巡らせ上手(じょうず)を射った…。
*
日々の空虚を未来(さき)に追い立て、旧い千夜(とばり)を過去に囲める無類の主人(あるじ)を虚無に片付け、日々の流行(ながれ)に一人(ひと)を呑み込む幻想(ゆめ)の文言(ことば)を丘に得ながら、男・女(だんじょ)に追い着く孤独の余裕(ゆとり)は屍(かばね)を見捨てて奇才へ寄った…。白亜(しろ)く成り立つ神秘(ふしぎ)の道標(しるべ)は幻(ゆめ)の独語(かたり)に理知を追い駆け、低い小宙(そら)から未来(さき)を信じる不倖と幻(ゆめ)との架空を得ながら、揺れる懊悩(なやみ)に虚無を買うのは素人(ひと)の思春(はる)への牧歌であった…。過去と現行(いま)とが虚妄(きょもう)を観る内、一人(ひと)の人数(かず)には活路が湧き立ち、低い小宙(そら)への理想の両刃(やいば)は人形(かたち)を失くせる幻(ゆめ)を背負った。見様見真似に肴(さかな)を見付ける過去と現行(いま)との幻見(ゆめみ)の合図は、必要ばかりに加護を見る儘「杜撰の信途(しんと)」を虚空に追い立て、日々の始めに女性(おんな)を呈(あらわ)す未在(みざい)の空間(あいだ)を窄めて往った…。幻(ゆめ)の孤独を根回しにも見て、過去に仕向ける自己(おのれ)の背中は嘆かわしくもあり、非道い佳日を気色に詠み取る自己(おのれ)の無垢など毛嫌いして居た…。自由を勝ち取る端正(きれい)な同調(シンパ)は自己(おのれ)を愛して木霊を聴きつつ、幻想(ゆめ)の涼風(かぜ)から自己(おのれ)を勝ち取る自由と現行(いま)との安(やす)みを表し、一人(ひと)に象る幻想(ゆめ)の流行(ながれ)は化身を知らずに虚構を射った…。幻想(ゆめ)の角(かど)から独義(ドグマ)が成り立つ〝不和の欲目(よくめ)…〟を自由に片付け、未知の頭上(うえ)から過去(かたち)を象る自己(おのれ)の怜悧を手懐け始めて、幻覚(ゆめ)の肌から個録(ころく)が活き尽(き)る不動の哀れを天然(そら)に観るのは、過去の列(ならび)に孤独を企む、幻想(ゆめ)の概(おお)くの色彩とも成る。一人(ひと)の感覚(いしき)に孤独が降(お)り立ち、紺(あお)い人形(かたち)に欲目(よくめ)が刈るのは怨念ばかりで、白亜(しろ)い小敗地(アジト)に安土を見守る「自由の気色…」は活き血を省み、現行(いま)の床(とこ)へと女性(おんな)を侍らす無像(むぞう)の気色にその身を遣った…。過去の小躍(おどり)に無口が成るうち出戻りばかりが空虚を買うのは八頭(おろち)を仕上げて、一人(ひと)の無垢から生憶(きおく)が象る退屈(ひま)と最後の暁(あかつき)ばかりは出る処を識(し)り…、過去に追い着く無造(むぞう)の翳りを幻覚(ゆめ)の理知へと素直に挙げた…。自由に産れる経過(とき)の背後は、幻(ゆめ)の独語(かたり)に自由を手招き未開を相(あい)して、過去の肴(さかな)に生憶(きおく)を盛(さか)らす未有(みゆう)の境地に朗(あか)るく成った…。自由を尽(き)らして活路が静(しず)み、一人(ひと)の両腕(かいな)を可笑しく保(も)つのは幻覚(ゆめ)の弛(たる)みと淡路の四季(きせつ)で、一人(ひと)の栄華に見様(みよう)を採るほど常識(かたち)を問うのは「暗(やみ)を信じぬ真逆(まさか)…」と成った…。生録(きろく)正しい神秘(ふしぎ)の成果は過去に安める無口を通して、一人(ひと)の両腕(かいな)に従順(すなお)に巻かれる過去の刹那を毛嫌いした儘、自己(おのれ)の無口は既録(きろく)を透して思春(はる)の人壁(かべ)へと巣立って往(い)った…。自由に成り立つ従順(すなお)の共鳴(こえ)には、幻覚(ゆめ)に愚かな自在が萎え発(た)ち、自己(おのれ)の自覚(かくご)を御託に列(なら)べる無垢と生義(せいぎ)に未有(みゆう)を割(さ)かされ、自由に成り立つ不和の流行(ながれ)に相乗効果を結わえて在った。無純に帰(き)せ得る滑稽(おかし)な過去には、幻(ゆめ)の初めの懊悩(なやみ)が先立ち、日頃に燃え立つ個録(ころく)の王者は夜半(よわ)を得ながら、人間(ひとのあいだ)を毛嫌いして往く不毛の従者を悦び合った…。自由と未(いま)との過去への流行(ながれ)は、今日を識(し)らずに孤独を詠ませて涼風(かぜ)を追い立て、幻覚(ゆめ)の美街(まち)から既読を合せる無類と虚無との合議を描(か)いた…。
*
~無機質への思春(はる)~『夢時代』より冒頭抜粋 天川裕司 @tenkawayuji
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます