第2話 転生先で一番多いの森説
目が覚めて立ち上がった俺はすぐに現状の状態を確認した。
するとまずここが森であることが分かった。…いや、そんなん言うまでもないな。
そして次に俺は何も持ってないことが分かった。…そりゃ、転生したのに何か持ってたらおかしいもんな。
さらに、俺は裸ではなく普通の布でできた服を着ていた。…裸じゃないのはいいんだけど、だからって話。
…違う、俺が言いたいのはこんな事じゃないんだ。やばい頭が混乱してる。
だってそうだろう?まさか、アンケートを答え終わったら何の宣告もなくいきなり本当に異世界に飛ばされるとは思わないじゃんか。
こういう時はさ、せめてカウントダウンとかでさ、もうちょっと心の準備とかほしいじゃん。
「…はぁ、誰にいってるんだろ。おれ」
とまあ、空に向かって文句を垂れ流していると逆に冷静になってしまうもので。俺は少しずつ現実を受け止めてようやくやはり何をすべきか考えはじめた。
「まあ、こうなった以上ひとまずは、人が住んでるところを探した方がいいよな…。異世界にきたっていうことだって状況からの推測で別に確定事項じゃないし、本当はどうなっているのか知りたいしな」
今のところ、この世界について俺は森があって空は青いということしか知らない。
ならば、こんなところで考え事をするより少しでも歩いてこの世界の情報が知りたい。
「…よっし、そうと決まれば早速行動だ。」
そうして立ち上がり森に足を踏み入れるとそこには無数の草木が生えている。
そして、よく見るとその木々はどれも見たことがないような形をしていて、疑問だった異世界かどうかという問題はすぐに解決された。
服が半袖半ズボンなため、歩いているとちくちくと草が足に刺さり若干痛い。変な毒とかかぶれたりしないといいが…
そうして、草木をかき分けながら歩きつ続けること30分。道を見つけることもなく、他の生物に会うこともなく無事に俺は川に出た。
「明かりが見えたから少し期待したんだけどただの川かよ、…はあ、とりあえず水分補給しとくか。」
川に顔を近づけ、手で水を汲んで1,2回水を飲む。きれいで冷たい水は良く体にしみてうまい。
思っていたより喉が乾いていたようで、もう少し飲もうと川に顔を近づけたとき、その川に映る自分の顔を見てある事実に気づく。
…あれ?俺なんか若くね?それこそ高校生ぐらいのような…
前世もまだ20代で若かったとはいえ、最後に鏡を見た時と比べえ明らかに髭とか生えていないし、顔が幼い。
…そういや最近、仕事の体を急に動かすとどこか痛めてたのに、いまはどこも痛くないどころか、逆に調子がよくなった感じがする。
それこそ、こんな感覚10年ぶりぐらい。
…ということはマジで俺若返ってるんか。
これも転生パワーなのだろうか?
真偽はともかく、これは結構嬉しい誤差だ。なんてったって未知の土地で仕事の疲れと運動不足でそこらじゅうを痛めていた体じゃなくて、こんなに動きやすい体でいられるのだからな。転生最高だぜ!!
「さて、一通りやることもやったし、引き続き道がないか森に入るか…」
川に来たことでいくつか今の自分の状況をしれたとはいえ、まだ俺は言わば遭難状態。
特にサバイバルの知恵も特に持ち合わせていないため、暗くなってくると色々危ない可能性がある。
それにおそらくこの世界にも熊みたいに危ない生物もいるはすだ。なんなら異世界定番の魔獣とかのもっと危ない生物の可能性だってある。
だから、明るいうちに行動して早めに道を見つけるなり、寝床を確保するなりする必要があると思い、また森に足を踏み入れる。
そうその一歩を踏み出そうとした時突然森全体が揺れた。
「…!?なんだ!?」
音の方向に向くと進もうとした森の後ろ側、つまり川の奥から爆裂音というか何かの衝突音が聞こえることに気づく。
まさか、と思い川の向こうをよく見ると、ずっと探していた道らしきものを見つけた。
なんと幸福なことか、森に入る前に誰かが工事とかで爆発作業をしていた音を聞けるとは。
おかげさまでせっかくのチャンスを台無しにならずに済んだ。これは爆発してくれた人に感謝しなければ。
そんなわけで早速俺は向こうの道に行こうとしたものの今度はまた別のとある事実に気づいてしまった。
「あれ?これ、川渡らんといかんくね?」
そう、横幅おおよそ4メートルぐらいの川を越えなければその道には行けないということである。
言わぬもがな、川を泳いで渡るということは大変危険である。いくら流れが緩やかでも足を取られたら大人でも普通に溺れてしまう。
しかし、ようやく見つけた手がかりをみすみすと見逃すわけにもいかない。かと言って、ただ回り道しようにもこんな視界の悪い森に入ったら明後日の方向に進んでしまうかもしれない。
ならば結局ここをどうにかして渡るしかないわけだが…あいにくにも俺はこの川を渡れそうな道具も知恵も持ち合わせていない。
…せっかく見つけたのにみすみす見逃すしかないのか?
「…うーん、どうしたものか。…ん?…なんだあれ?なんか空に光り輝くものがこっちに…」
どうしようもない状況に頭を悩ませ、何気なく空を見上げると、そこにはこちらに向かってくる青く光輝く一粒の星のようなものがこちらにゆらゆらと落ちてきていた。
それがなんなのか疑問を持つ間も無く、それはそのまま川に落ち…
「…川が、凍った…?」
その光は渡れず困っていたその川を一瞬で氷の世界に変化させてしまったのである。
信じられず試しに触ってみてもやはりちゃんと固まっていて冷たく、しかもそこそこな強度があるようで片足を乗せてみてもヒビすら入らない。
こんな物理をガン無視したような、摩訶不思議なことを起こせる力といえば…
「これがもしかして魔法なのか…?」
初めて魔法をお目にかかった俺は魔法が起こした現象に感動する。
異世界転生をしたとわかった時から流石にあると思っていたが、やはり目の前で現実になると興奮するものがある。
…俺も練習したらできるようになるのかな?
うーん、せっかくなら是非とも魔法を放つ瞬間をこの目で見てみたい物だが、やはりどうしても川を渡らないとって…いや、まて。
「これ、今なら渡れるのでは?」
さっき確認した通りこの川は今歩いても割れないほどの強度の氷で覆われている。つまり向こう岸まで歩いて行けるってことだ。
なんたる幸運、これは本格的にこの魔法の主に頭が上がらなくなってきたぞ…
と、感謝するのはまた後だ。さすがに凍っている状態にも時間制限があるだろううし先にとっとと渡ってしまおう。
そうして川を渡ってゆくと、道の方からの爆発音が徐々大きくなってゆく。
おそらくさっきの魔法を使っている主がこの辺にいるんだろう。…じゃあ、この世界初の人との対面になるのか。
いや焦るなよ?俺。よく考えろ、俺は身分証もい放浪人、いきなり出て行っても不審者扱いされるのがおちだ。
まずは物陰からどんな状況かを確認してからにしないと…
そうしてなるべく気配を消して忍足でゆっくり声のする方へと向かっていくと、そこには金髪の一人の少女を見つけたのだった。
…そういえば、なんで川に魔法、飛んできてたんだろう?
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