第6話:セックスに依存しちゃってる?
さて、ネルが体を持ったおかげで彼女をエスコートして外に連れ出せる
ようになった。
ホログラムだった時も外出用のポータブル端末を持って彼女を連れ
出してはいた。
だけど実態があるのとないのとでは存在感が違う。
ネルがホログラムだった時に面白かったのは彼女が横断歩道を渡ってるとき、
彼女を無視して車が突っ込んで来てもホログラムだから車がネルをすり抜けて
いくんだ。
ひき逃げだろう〜って怒鳴ってみても意味がない。
案外ホログラムを連れて外出してる人もいるからね。
だからネルに限らずホログラムを素通りして行く車もけっこういるんだ。
だけど俺の場合は笑ってられない・・・今のネルは車はすり抜けられないからね。
ネルが車に跳ねられたら大変だ。
でもドジだからホログラムの時の癖が出て時々車に跳ねられそうになる時がある。
修理代が高くつくから勘弁してくれって言うけどすぐ忘れてしまう。
そのくせ自分に体があることをアピールしてくる。
やたらハグしたがるしチューもしたがるし当然エッチもしたがる。
って言うか、俺を喜ばせたがる。
嬉しい?とか楽しい?とかって聞いてくる。
ネルは家にいて元気で体力持て余してるから人間と違って疲れるって
ことを知らない。
だからいつでもスタンバイ状態でいられる。
けど俺は仕事とバイトがあるからな・・・時には夜中のバイトだったりするし。
だからめっちゃ疲れてる時もある。
なのに俺の顔を見たらセックスしたい?って聞く。
ネル自身は毎日してもいいらしい。
特にネルがちゃんとエクスタシーを感じるようになってからの要求が
すごい・・・。
そうなんだ・・・ネルは感じるってことを体が覚えたんだ。
いつだったかエッチしてる最中に、ネルが・・・
「あ、あ・・・あ、トッキー私、壊れちゃう・・・うう死んじゃう」
って言うから、びっくりしたんだ。
ネルがおかしな具合になったからエッチやめて、どうしたの?体の調子
悪くなった?って聞いたら、そしたら
「イっちゃったみたい」
って言われた。
はじめてイケたことが嬉しかったのかテンション爆あがりで「感じた、感じた」
って人の顔をキスだらけにした。
そう言う体になってからか自分は一人前の女なんだって意識を持ったのか
まじで俺を喜ばせようと自分が知識として持ってるテクニックを使いたがる。
だけど毎日は勘弁してほしい。
「ちょっと毎日は勘弁してくれないか?疲れてるんだから」
「なんで?私のこと欲しくないの?愛してないの?」
「そう言う問題じゃなくて・・・毎日なんてしてたら体が持たないの?」
「俺はさ、ロボットでもアンドロイドでもサイボーグでもないんだから」
「加減ってもんがあるだろ?・・・これじゃ淫乱じゃないかよ」
「私、もしかしてセックスに依存しちゃってる?」
「しちゃってるな」
「私はトッキーに喜んで欲しかっただけなのに・・・いつの間には自分の
ことしか考えてなかったみたい、ごめんね」
「謝られると俺はネルを責めてるみたいじゃん」
「でもな、毎日セックス、セックス言ってたらマンネリして来るだろ?」
「インターバルを取るから、いいってこともあるぞ?」
「しない間、その間は我慢するだろ・・・我慢して、したいって思ってする
からした時、快感も大きいんだよ」
「分かる?」
「だって・・・私、男性にご奉仕するよう作られてるんだもん」
「つうか、もともとはホログラムなんだから奉仕なんて概念ないだろ?」
「だけど体はセクサロイドなんだもん」
「なんで、そういう理屈になるんだよ、考えるのは脳みそなんだから
体は関係ないだろ?」
「そんなこと私に言われても・・・」
「とにかく俺を喜ばせたいって気持ちは分かるけど・・・」
「したい時はさせてって言うから・・・おとなしくしててよ」
「つまんない・・・」
俺はセクサロイドを甘く見ていた。
なんせセクサロイドってセックスに特化してるから言ってみればそれが
本業みたいなもんだろ・・・そのために生まれてきてるんだから。
だから奉仕するように作られてるんだよな。
ネルはセックスを通して俺を幸せにしたいんだ。
まあ、逆にエッチを拒否されても困るけどな・・・レスになんかなったら
一緒にいる意味なくなすからな。
そんなことならホログラムのままのほうがよかったって思うよな。
つづく。
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