第43話
里子に
「嫌いになりませんよ」
と言ってもらって、剛とアリスは落ち着いた。
それを見計らって世那が口を開く。
「約束を覚えてるか?」
と。
それに二人は、しっかりと頷く。
「当たり前だ」
「当たり前や」
二人の答えに嬉しそうに笑う世那。
そんな世那を愛しそうに見つめる里子。
「その約束は今でも有効か?」
「なんやの、回りくどい」
「はっきりと言え」
面倒いぞ、という顔をする二人に
「本当に変わらねぇな」
と笑った後、世那は表情を引き締めた。
そうすると、ゴリラから凛々しい一人の人間となり、剛とアリスも満足げに笑う。
「俺達今、
「お願いします」
「あ?」
「おぉう?」
家がない?
金がない?
とビックリする兄と姉。
そして
「お前、大黒柱になったんだろうが……」
「里子ちゃんを養っていかなアカンのに、どういうことやねん、このアホ」
「甲斐性なし」
「ゴリラ」
「返す言葉もごさいません」
「すみませんお義兄さん、お義姉さん」
「いいよ」
「ええんよ」
里子ちゃんはええんよ、と言う剛とアリス。
とことん義妹に甘い。
「しかしアリスよ」
「なんや、可愛い弟よ」
「可愛いは止めろ。うちの弟達……」
「それは言わん約束やろ、剛」
ガックリと項垂れる剛の肩を、ポンポンと叩き慰めるアリスなのであった。
「ちょっと情けなくない?」
「あっ、言っちゃった」
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