第38話
「もー……お前の運転では……乗らん」
空港に着いて、車を降りてすぐ、剛は車の中で散々叫んだせいでのカッスカスの声でそんな事を言う。
「もー、なんなん?弟に会うんだからシャキッとし」
アリスは情けなくも丸まった剛の背中をおもいっきり叩く。
空港内に響くバチーーンッという音。
何事か!?と注目を浴びる中、剛は痛さに悶絶し蹲った。
「おお?どないしたん?」
「女……らしくなれ、とは言わん。でももうちょっとその豪快さを抑えんと嫁にいけないぞ……」
痛さに耐えながら呟く剛にアリスはケタケタ笑う。
「なんの心配してんねん。あたしのことはええんよ。兄弟全員が幸せになるまで結婚はせぇへんから」
「あ?」
痛みも忘れて立ち上がった剛はアリスを睨む。
「バカ言うな。それは俺の言葉だ。お前が幸せになるまで俺は結婚しないぞ」
「真似すんな」
「お前がな」
バチバチッと睨みあう。
どっちもただ姉兄弟の幸せを願う頑固者。
「フフッ」
突然、アリスが笑い出す。
「なんだよ?」
「剛」
「うん?」
青い瞳をギラギラに輝かせ、でも表情は聖母マリアのように美しく微笑んだアリスは
「あたし達、結婚しようか」
茶でもしばこうか?くらいの軽い口調で、剛にプロポーズした。
「……は?」
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