第9話

とっさのことに女の子達は動けない、逃げられない。



まぁ、そうだろう。



普通に歩いていて男が飛んでくるなんてことはまずない。


警戒してるはずもなく。



結構なスピードであたれば女の子達が怪我をする可能性は大だ。



他の通行人の人達も動けない。



そんな中




「だぁああああああっ!!」



「「!!」」




アリスと正義には慣れ親しんだ声が聞こえてきた。



その声の主はなんとか女の子達の前に立つと、ハエを叩き落とすかの如く飛んできた男を見事に殴り落とした。




ゴンッ!!



「ぐぎゃっっ」





男は今度こそ顔面を強打のうえ沈黙した。




「大丈夫か!?」




そしてやはり聞き慣れたもう一つの声が女の子達に声をかける。




「は……はい。大丈夫‥です」



「ありがとうございます!!」



「いやいや、怪我がなくて本当に良かった」



「……全く、たった数時間も大人しく出来んのか、お前らはーっ!!」



「剛!!」



「剛くん!!」



「え……?」




そう恐ろしいほどタイミングバッチリの男の正体は剛であり、女の子達に駆け寄り心配しているのは四季であった。




剛大好きのアリスと正義が剛に駆け寄る


















「正座だ」



「「……え?」」




二人が抱きつく前に剛が一言発する。




「正座」




アリスと正義、満面の笑顔がピキッと凍りついた。

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