第6話

「「「わぁああああああっ!!」」」




見物人達がアリスの一言に一斉に歓声を上げた。



それだけで周りの人達も男にイラき不快に思っていたのがわかる。




「アリスちゃん、カッコいい……」




正義が瞳をキラキラさせてアリスを見る。



そうなると男は悪者になり……。



真っ赤だった顔は赤を通り越し真っ青に。


体はブルブルと震えだし……




「凪沙はもう二度とアンタとは会わん。このまま黙って消えや」




アリスは男の目を見て言うと、男の拳を離す。




「…………」




男は答えない。


ただ黙って下を向き体を震わすだけ。




「アリス」



「アホ垂れ。もっと見る目養い」



「ふぐっっ」




申し訳なさそうに近づいてきた凪沙の鼻を摘まみ、呆れた表情で言うアリス。




「ん?ん?」




話についてこれない正義。



アリスと凪沙はアホ面正義を見て笑いあい、どちらからともなく歩き出す。




「なんかねぇ……。ダメ男ばっかり選んじゃうんだよねぇ、僕」



「へ?」



「だから見る目養いって」



「剛みたいな人……を選んでるつもりなんだけどなー」



「あ"……?殺されたいん?凪沙」




あんなゲス野郎と剛を一緒にされ、アリスご立腹。




「い・や。ここまできたら剛と……可愛い兄弟達に会うまで死ねないね」




ニッコリと天使の微笑みを浮かべる凪沙。




「ねぇっ!!」



「ふぉっ!?」



「ぬぉっ!?」




仲間外れにされた正義がアリスと凪沙の間に強引に割って入り、凪沙の腕にしがみつく。




「真ん中に割って入ってくんな!!」



「痛いっ!アリスちゃんのゴリラッ!」



「あ"……?」



「じゃなくてっ、凪沙ちゃん!」



「ん?」



「男が好きな人なの!?」




ズバリ聞く男、正義。


聞かないと気がすまない男、正義。



アリスが"このバカッ"と正義を睨むも



気にしない男、正義。



凪沙だけをジッと見つめてる。



凪沙はそんな正義を優しい瞳で見つめ




「うん、そう。……幻滅した?」




悲しそうに微笑む。




「そっっ」



「がぁあああああああああああああああああっ!!!!」



「「!!??」」



「…………」




つんざくような雄叫びが辺り一帯に轟いた。

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