第3話

「い"~~だぁぁ~~っっ‼」




などと呻き、床に突っ伏してる女に声をかける勇気のある者は一人も……




「お姉ちゃん」




居た。




幼い、まだ7歳くらいの少女。




「ん?わー、可愛いお嬢ちゃんや、どないしたん?お姉ちゃんになんか用?」




かけられた声に女は顔を上げて女の子を見つける。




青い瞳に浮かぶ涙に、男の何十人かがその綺麗さに生唾を飲んだ。




「はい。コレ」




そう言って女の子が差し出したのは、女の脱げた真っ赤なピンヒール。



どうやらポーン‼と飛んだピンヒールを拾ってくれたらしい。




「おぉっ‼おぉっ‼おぉっ‼??」




女の子が持ってるピンヒールと自分の足を何度も見る。




どうやら脱げていたことに気付いていなかったらしい。




「ワープか……」



「ううん。さっき転けた時脱げたの」



「…………ほーか」





渾身のボケが←??


スルーされて、どこか寂しげな女。




ボケただけなのに、儚げな様子の女に、男達の庇護よくが掻き立てられる。




何人かが女と女の子に近付いていく。




「お嬢ちゃん、ありがとうなぁ」




女が笑ってピンヒールを受け取ると、女の子は「うん」と嬉しそうに笑った。




「そや‼お礼……お礼……確か……」




突然、自分の体を叩きまくる女に、近付きつつあった男達が退いた。




まだ周りの視線を釘付け(違う意味で)にしてる女は




「あったぁ‼」




と、胸の谷間から何かを取り出して掲げて見せた。






ゴックン…………



見えた真っ白な谷間に再び男達の生唾を飲む音が、ロビーに響き渡った。

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