序章
15年前
第1話
壊されていく家を見つめるのは、8人の子供達。
似たり寄ったりな背格好から年は同じくらいだろうか。
8人並んで、今まで暮らしてきた"虹の家"が壊されていくのをジッと見てる。
"虹の家"
それは小さな小さな孤児院で。
この子達だけしか居なくて、閉園を余儀なくされた。
今日、この子達は新しい孤児院や見つかった里親などに引き取られていく。
バラバラになる。
「……っっ」
声を上げずに泣く子。
「うわぁぁぁぁぁぁぁん‼」
号泣する子。
「泣くなっっ‼」
自分も涙を溜めつつ泣く子を叱る子。
「俺達は今日で離れ離れになる」
ひたすら真っ直ぐ壊れていく家を見つめる子。
「血は繋がってないけど、俺達はずっとずっと兄弟だ」
歯をくいしぱり家を睨み付ける子。
「いつかまた……」
泣く子の涙を拭いてあげる子。
「必ず」
ソッと隣の子と手を繋ぐ子。
「また一緒に暮らそう」
並んだ列からポンッと一歩前に出る子。
その子は、一人一人の目をしっかり見て微笑む。
それに、子供達はいっせいに頷いた。
必ず
誓いをたてたその日は、蝉の大合唱する暑い暑い日のことだった。
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