第3話

これ以上、母に辛い思いをさせない様に。


これ以上、母の重荷にならない様に。


これ以上、母に嫌われない様に。




出来ることは何でもやると決めたし、

それなりにやってきたつもりだ。




父が生きていれば、寂しい思いをすることもなく仕事に明け暮れることもなかっただろう。


もっと家族で色んな所へ出掛けたり、たまには友達と遊びに行ったりしてたかもしれない。




もしかしたら、あたしに妹や弟ができてたかもしれない。




父が死に、頼るところがない母は、すべてを投げ打って1人であたしを育ててくれた。1番楽しい時期だったかもしれないのに、あたしのせいで母は仕事に明け暮れるしかなかった。




母と父の人生を取り返しのつかないものにしてしまった自分を、憎んでも憎みきれなかったし、幸せになんかなっちゃいけないと心に決めた。





なのに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る