第37話 イケメン補正
この容姿じゃイジメというよりわがままな彼女に付き合ってるようにしか思われないってことか? 確かに……納得できる部分もある。美夜子に似た美形だからな、モテて当然だ。
でもなぁ、美夜子以外の女じゃな……。
「うわぁー」
「失礼しちゃうわね。そんな嫌そうな顔しないでくれる?」
「いやぁだって俺、心に決めてる人がいるし」
「誰よ、その女」
「み……」
俺は口をつぐんだ。
美夜子の名前は出さない方がいい。どこでCRATに嗅ぎつけられるかわからないんだ。ここは表現をぼかして言った方がいいだろう。
「そうだな。明るい性格で美人なのに可愛くて……それからどうしようもないくらい優しくて、抜けてるところがあるくせに頼りになって、家族みたいに気軽に相手にできるような子だ」
「ねぇ……それ、まさか美亜ちゃんってオチじゃないでしょうね?」
「……」
ほぼ正解だった。
「ああもうっ、その反応図星ね……! このシスコン、きっも!」
「おい見ろよ、なんか痴話喧嘩がはじまったぞ」
「辻中が九曜さんの地雷踏んだんだな。バカな奴め」
真綸が吐き捨てるように言うと、廊下側の席からクラスメイトがヒヤヒヤと笑い始めた。
んん~、と唸りながら真綸はベストブレッドをかじった。ベストブレッドは完全食で栄養バランスはいいが、少女の心の機微を整えるバランスはないようだ。
(くそっ、なにが痴話げんかだよ。こっちは脅されて仕方なく付き合ってるだけなのに……)
俺がそう思っているとドアが開き「失礼します」と言ってスーツ姿の女性が教室に入ってきた。
茶髪のミディアムヘアで仕事ができそうな女性だ。愛嬌がある顔をきりっと引き締めたまま、こっちに歩み寄ってくる。
「真綸ちょっといい?」
「あ、ミナミンどうしたの?」
どうやら真綸の知り合いらしい。相手は年上だが、友達感覚で話している。
「仕事よ。もう学園には話をつけてるから」
「わかった。ちょっと待ってて、荷物をまとめるから」
「なぁ、この人は?」
俺が訊くと、学生鞄にノートやタブレット端末を入れながら真綸がさらっと紹介してくる。
「ミナミン、あたしのマネージャー」
「どうも、いつも真綸がお世話になっております」
ミナミンさんから名刺を渡された。
(
俺がそう思っていると皆見さんが真綸からサラダのカップと学生鞄を受け取った。
「じゃあ悪いけど真綸を借りていくわね」
「全然大丈夫ですよ。むしろ感謝したいくらいです」
俺は皆見さんに微笑み返した。
「ねぇ、ちょっとなに清々しい顔してんのよ」
「いいから真綸、行くわよ」
何か言いたそうな真綸の腕を引き、皆見さんが廊下に出て行く。
ふー今日は静かに昼飯が食べられそうだな。
俺はそっと微笑み、購買で買ってきたパンの袋を開けたのだった。
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