第22話 責務


 応接室にて・・・・。



マンダ「・・・・・・大変申し訳ございませんでした。」



 退院したマンダがみなみとの約束通り、オーラス興業の事務所に謝罪に来ていました。高価なフルーツの手土産を持っての謝罪です。




ハツモト「・・・・・・」




チュン「いや・・・ん?・・・謝罪・・・という事は俺達の悪い噂を流していたって事を認めるわけ??」





マンダ「はい・・・・。」




チュン「あの夜に何があったかは詳しくは知らんが、当事者のみなみはマンズ企画を絶対に許さないと言ってるぞ。その辺はみなみとどういった話し合いをしたんだ。その状態で話に決着がつくなんてどうしても思えないけど?」



マンダ「自分はまだ会社の人間では無いから、会社に対する謝罪であれば上司のお2人謝りに行けと言われたのでアポを取り、謝罪にきているんです・・・・。みなみさん個人とは正直和解できていません」



チュン「ふーん・・・みなみに言われたから、来ましたってことか。アンタ、みなみのような若造に言われたことをそのままやって、それでいいと思ってんのか??・・・一応会社の代表なんだろ??どうなんだい?マンズ企画ってどうなんだい?ここにきて、貴方の顔を見て俺も不安に思ってきてしまってよ」



 チュンは心からの謝罪が欲しかったのです。自発的な謝罪が・・・。誰に言われたから来ましたという言葉だけは聞きたくなかったのでした。




マンダ「・・・・ですから・・・」




 マンダは言葉が詰まりました・・・。チュンは煙草を吸い始めました・・・。




チュン「・・・ここはさ、みなみの直属の上司のハツモトに意見を聞いておこう。・・・おい、どうなんだよ?あいつからなんか聞いてるか??」




 応接室の入り口付近で立って話を聞いているハツモトは眼鏡をクイっと動かしました。眼鏡が光りました・・・・。



ハツモト「許さないとは言ってましたが、・・・上司である私目線で言わせてもらうと・・・・正直言って、・・・・全然面白くないですね。」



マンダ「・・・・え?・・」(何故謝罪に来た人間にそんな事を・・・。)



ハツモト「心から謝罪・・・というのが少し見えれば考えましたが・・・・。みなみは未だに怒ってますし、他にもにしまやハクやポンも当日一緒に居たと聞いてます。・・・マンダさん、よくよく考えたら私達は同業者ですよね?みなみの上司という立場で、仕事をしている私としてはあまり面白くないんですよ、この果物持ってこられてもね・・・。」




チュン「これか・・・・」




 チュンは果物の袋を開けました・・・・。




マンダ「あっこれは私の工場で作っていましてね・・・・もし皆さんがお気に召さなければ・・・他の物に変えますので・・・・。」



 チュンはデカい手でメロンを掴みました・・・。








 そのまま・・・







 グチャァーーー!!




マンダ「うわぁぁぁぁ!!!いってぇー-!!!何をするんだ!!!」




 チュンはマンダの頭にメロンを思い切り振り下ろしました・・・・。




チュン「面白くねぇんだよ!!こんなもん持ってこられてもよぉ!!・・・」




ハツモト「勘違いして貰っちゃあ困るんだよ・・・・俺達の仕事は人材を派遣してお金を貰う仕事なんだ。その後に、果物を買うという流れがわかってないなぁ・・・・。この果物を囲んで喜んでみんなで団欒するような会社だとまだ思ってますか?」




 ・・・・・・・



 ・・・・・・・



 ・・・・・・・




 こうしてマンズ企画から、2つある大型工場のうちの、第2工場側の利権を奪いました・・・・・。早速来月からオーラス興業の派遣社員を投入する事になりました。





 ハクが現場リーダーとして現地に向かいます。




 とぼとぼと、松葉杖をつきながら1Fのエレベーターから出てくるマンダ・・・・。



 入り口に黒い大きなセダンが停まっていました・・・。




 そこに待っていたのは・・・・・。




きたの「おいマンダ、・・・・詫びに来る順番が違うんじゃねぇのか?・・・・」





マンダ「き・・・・き・・・きたのっ!!!」




 今日はマンダにとって、悪魔が舞い降りる日でした・・・。



 降りた所に、きたのとカン、リュー、その他数名の男達が待ち受けていました。




きたの「てめぇこっちが一体何人やられてると思ってんだ!!みなみんとこの誰がやられた?!言ってみろこの野郎!!」



マンダ「や・・・やられたのは、そっちの会社の人間にやられたんだろ!!」



きたの「何訳の分からない事言ってんだ!!元を正せば、お前と言う人間がこの世に存在しなければ、こんな事になってねぇんだよ!!俺の部下をよくもやってくれたなこの野郎!!兄弟喧嘩を炊きつけたのはお前だろう?!全部分かってんだよ!!」




 激怒したきたのは目の前にあったビルの灰皿を蹴飛ばしました。


 今日のきたのはマジです・・・・異常に怒っています・・・・。




カン「お前社長にまでなって、順序が分からねぇのかこの野郎!!なんで社長がお前を迎えに来なくちゃいけねぇんだ!!・・・乗れぇ!!・・・早く車に乗れ!!」



リュー「・・・・さぁ、こっちだ!!うちの社長に面倒かけるな!!注射前の子どもみたいに暴れてんじゃねぇぞ!!大人なんだから腹括れ!!」



 抵抗するマンダを無理矢理車に乗せるリューとカン・・・・。



きたの「舐められたもんだ、うちも!!・・イツキ!近いし一旦お前の事務所だ!」



イツキ「はい!わかりました!・・・乗れコラ!!」



 イツキは降りようと立ち上がるマンダのケツを蹴飛ばしました。





 ビルの屋上にて・・・・



 フェンスから下を眺め、煙草を吸っているにしまとみなみの姿がありました・・・・。




みなみ「マンダ・・・・お前終わったわ・・・・(笑)ライバルとしてマンズ企画は残しておきたかった。でもこれで終わりだ。」



にしま「そうだな・・・・。今日はリューまで招集されてる・・・。」



みなみ「マンダの件はこれで終わりだ。俺達は本業に戻ろう。」



にしま「そうだ、午後からの仕事が俺達の仕事だ。そろそろ用意して向かおう。多分ハクがもう準備して駐車場で待っている筈だ。」




みなみ「行こうにしま・・・・。」

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