過去を思い出すこと
エイル
第1話 何か引きずっている
あなたの学生時代を一言で言い表すとしたらなんですか?と仮にそのように聞かれたら開口一番、一言こう答えたいです。
「過酷でした。二度とあの頃には戻りたくありません。」
頭の悪そうなマイナス思考の回答かと思いますが、私「柴田英一郎」は嘘をつくのがとても苦手な性分なので、正直かつ誠実に、素直な気持ちで凛として答えます。企業の面接であればそんなマイナス思考の奴は要らないと言われ、直ぐに落とされるでしょう。
歳を取れば普通は若い頃に戻りたいとか昔はこうだったとか、そういう事を発想を思いつき他人に話しますが、絶対に戻りたくないのです。大学時代はともかく、高校時代だけは絶対に戻りたくありません。
「何が過酷だったのですか?」「勉強ですか?」と更にその人に突っ込まれて聞かれたら、確かにそれはそうなのですが、私を取り巻く環境が凄く荒んでいたように感じましたと答えます。
一言ではとてもではありませんが、言い表す事が出来ないのです。
私の学歴は大学卒ですが、なのに何故か大学時代ではなく、学生時代の事を聞かれるといつも高校時代の事が頭をよぎります。大学時代の思い出が一つも無くなってしまっているような感じになっています。え?大学は何も無かったの?大学の同級生はのっぺらぼうだったの?
全国的にも有名な進学校でしたので、よく高校時代の学校生活について他人から聞かれることがありました。私の同級生や先輩後輩達にとって日々の勉強という行為は当たり前の事でした。その上で何をしていたのか、それこそが私の高校生活での財産になり、これからの私の人生、どこかのお酒の席でもきっと笑い話となって助けてくれるはずなのですが、私が学生時代の勉強のこと以外の思い出を話そうとするととてつもなく、異常に疲れるのです。というか、話したくありません。
何故思い出話を楽しく話す事が出来ないのでしょうか。
よく、ゼミやサークルの飲み会などで集まった時に思い出話をして盛り上がる事があります。その場の雰囲気で少し笑う事もありますが、最近の私はどうしても心から素直に大声で笑った事がありませんでした。病気の一種でしょうか。それとも私の成長の一部でしょうか。
高校時代が終わり、そのまま私は念願の大学生活に入ったのですが、大学時代は打って変わって楽しかったです。しかし過去の事がいつまでもいつまでも気がかりで大学生活にも支障をきたしてしまったのはどういう事でしょうか。
物足りないからでしょうか、その高校時代のような困難を大学でも待ちわびていたのでしょうか。
頭が痛くなることもあり、アパートで1人苦痛に耐えているそんな日々もあったのです。
私は一度、高校時代の事を思い返し、何が原因でそのようになっているのか考えてみる事にしました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます