第3話 腹式呼吸の目覚め
セリアは僕を森の中の小屋へと案内した。そこには古びた木のテーブルと、ところどころ傷ついた椅子があるだけだった。
「座って。今から、あなたに『腹式呼吸』を教えるわ。」
セリアは言葉を続ける。
「この世界では、呼吸がすべてを繋いでいるの。人間、自然、そして宇宙までも。深い呼吸を身につけることで、あなたの『気柱』が目覚める。」
僕は言われたとおりに床に座り、セリアの指示に従った。
「まず、みぞおちに手を当ててみて。そこに力を込めるのではなく、逆に緩めるのよ。」
彼女の声は柔らかかったが、僕の中には緊張があった。緊張はすぐに消えず、呼吸が浅くなる。それを感じ取ったセリアは、さらに続けた。
「焦らないで。ただ、自分が息をしていることを感じ取って。呼吸を通して、自分自身を知るの。」
しばらくして、みぞおちが温かくなるのを感じた。その瞬間、僕の意識は一瞬ぼんやりし、何かが胸の奥で弾けるような感覚を覚えた。
「これが……腹式呼吸?」
「そう。そして、それがあなたの力の目覚めの第一歩よ。」
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