チビト
Yuya. S
大地の世界(ギュラン)編
ジェイ覚醒編(1~4)
第1話 "ある村の話"
1000年前 突如現れた異世界がこの世界に混乱と恐怖をもたらした
異世界からやってくる者たちー闇人(ヤミビト)
彼らは大地を焼き 人々の心を闇に染める
希望を繋ぐのは 今この世界に生きる者たちー地人(チビト)
これは終わりなき闇の時代に光を灯す物語である
〜ある村〜
(木漏れ日が差し込む森の中 座禅を組んだ家族が瞑想している)
(父親が静かに目を開ける)
マーカス『クレア… ジェイ… そろそろ行くか』
(木々の間を抜ける風 3人はパルクールの技術を駆使してあらゆる障害物をクリアしていく)
(軽やかなステップで岩を越え倒木を飛び越えまるで森と一体になったかのように走る)
(急な斜面に差し掛かると 3人は坂を滑り降り 足を一瞬だけ突いて再び走り出す)
(枝を掴んで旋回し 崖を飛び越える)
(森の奥深くにある巨木が視界に入る)
(3人はその巨木の根元までたどり着く ジェイは荒い息をつきながら立ち止まる)
(巨木の前でたくさんの人が祈りを捧げている)
「ジェイ・カビワン (6歳)、地人(チビト)」
ジェイ『ねぇおかあ 何でいつもここでお祈りするの?』
「クレア・カビワン、地人(チビト)、村を守る者、ジェイの母」
クレア『この木がみんなのことを守ってくれるからよ』
「マーカス・カビワン、地人(チビト)、村を守る者、ジェイの父」
マーカス『だから村のみんなでこの木を守るんだ』
ジェイ『おれもおかあとおとうみたいに強くなれるかな?』
(マーカスが微笑んで、ジェイの頭を軽く撫でる)
マーカス『大切なものを守りたい その気持ちを忘れなければ 強くなれるさ』
(クレアがジェイの首にゴールドのネックレスをかける)
クレア『はい ジェイ 誕生日おめでとう』
ジェイ『ありがとう!! って重っ!!』
マーカス『ハハッ おまえにはまだ重すぎるかもな だけど これをいつもつけておきなさい』
ジェイ『なんで?』
クレア『ジェイがもうちょっと大きくなったらわかるわ』
(その後 家族は街へ戻り 買い物をする ジェイが袋を受け取る)
ジェイ『ありがとうございます!』
お店のおばさん『まあいい子だねぇ お父さんそっくりじゃないか』
ジェイ『へへっ おれもおとうみたいにこの村を守れるようになるんだ!!』
マーカス『おー そりゃ頼もしいな』
お店のおばさん『村の外に出て騎士団に入る気はないのかい? お父さんもお母さんも元々騎士団にいたのよ』
ジェイ『んー わかんない』
お店のおばさん『ははは そうかい はい これおまけ』
クレア『いつもありがとうございます』
(村のお兄さん達が走ってくる)
村のお兄さん『マーカスさん 大変です!!』
村のお兄さん『北の農場で闇人(ヤミビト)が出現しました!!!』
マーカス『ポンベさん達は?』
ポンベ『俺達は全員無事です…!!』
マーカス『よかった!! 総力は!?』
村のお兄さん『小闇人(グル)が300体 計3,000です』
マーカス『ならおれらで十分だ』
(マーカスは手近な壁に手をかけ身体を一気に引き上げる)
(クレアもすぐ後を追い軽やかな足音で塀の上に飛び乗った)
(細い路地を飛び越えて屋根へと跳び移る 足元の瓦が音もなく割れそうな緊張感が走る)
(マーカスは壁に足を蹴りつけて反動をつけ隣の建物へ飛ぶ クレアが後に続く)
(マーカスとクレアが走っている、農場が見える)
クレア『あれね』
小闇人達『…タマシイ……ドコダ…』『……アレ…ニンゲンダ…』
(小闇人達が飛びかかってくる)
(マーカスの左のジャブが小闇人の顎を捉える 、続けて右のフックが炸裂、1人の小闇人が地面に崩れ落ち消える)
(クレアは敵に囲まれた状態、ステップで距離を詰めると、素早く膝を突き上げ小闇人の腹をえぐる、続けざまに後ろ回し蹴りで別の小闇人の頭を叩き勢いよく吹っ飛ばす)
(マーカスは突進してきた1人の小闇人をスウェーでかわしアッパーカットで喉元を打ち抜く)
(マーカスはその勢いのまま低い姿勢で体を回転させ別の小闇人にボディーブローを連打する)
(ドン!! ド! ド! ドドドン!!!)
(300人の小闇人が全て炎となって消える)
マーカス『よし』
(マーカスとクレアが街に戻り ポンベさん達がお礼を言う)
ポンベさん達『ありがとう! 助かりました!』『何かお礼を…』
マーカス(笑顔で)『じゃあ いつもみたいに芋を3人分もらっていいか?』
(家族は巨木の近くでキャンプをする 3人は焚き火を囲む)
クレア『ほら! 焼き芋が焼けたわよ!!』
ジェイ『やったー!! いただきまーす!!』
(ジェイがあつあつの焼き芋を食べる)
ジェイ『うめー!! やっぱキャンプは最高だなー おかあとおとうと食べる焼き芋が一番うめぇ』
(マーカスが笑顔で見つめる)
ジェイ『ねぇおとう 騎士団ってそんなにすごいの』
マーカス『ああ 特に第1騎士団は最強だ どんな場所でも助けに来てくれる』
ジェイ『この村も?』
(マーカスは砂の狼煙を見せる)
マーカス『この砂の狼煙をあげればすぐ来てくれるさ』
ジェイ『じゃあおれも騎士団に入るよ!! そしたらどこにいてもこの村を守れるよね?』
マーカス『そうだな でも騎士団に入るなら まず誰にも負けないくらい自分を鍛えないとな!!』
ジェイ『わかった!!』 (プッ)『あ へがでた』
マーカス『おいっ!!』(プッ)『あ おれもだ』
ジェイ『くさっ!!』
クレア『ちょっと!!』
(ハハハハハ!!)
(その時――空が黒く染まり 異様な雰囲気が漂う)
マーカス『ジェイ その岩の陰に隠れてなさい…… いいというまで出てくるんじゃないぞ』
クレア『これずっとつけててね』
(クレアはジェイのネックレスに触れる ジェイが光に包まれる)
(木々の間から4本の腕を持つ闇人と2体のキメラが現れる)
?『ジャハハ キャンプ中のとこ悪ィなァ オメェら ちとどいてくれんか その木に用があンだ』
クレア『あなた… ただの闇人じゃなさそうね』
?『ああ 格が違ェのよ』
マーカス『これで見逃してもらうってのはムリか?』(芋を差し出す)
?『ムリだな オレァ肉食なもんで』
マーカス『そりゃ残念だ』
(マーカスは砂の狼煙をあげる)
マーカス『おれ達の村は代々この木を守ってんだ!! おまえらの好きにはさせん!!!』
?『そうか』
?『なら遠慮なくイッチまうぞ コラ!!!』
(4本の腕から鉤爪が出る 闇人とキメラが襲いかかってくる)
(ヒュッと焚き火が消える)
(マーカスは前方から迫るキメラの爪を見極め横に飛び退く 鋭い爪が通り過ぎマーカスの髪が揺れる)
(クレアは素早く身体を低くし4本の腕が彼女の上を掠めていくのを感じる)
(腕が木の幹に当たり木が倒れる)
(マーカスはキメラの横を通り抜け強烈なパンチを放つ)
(クレアは闇人に強烈な膝蹴りを放つ 同時にキメラが襲いかかるも身体を反らして難なくかわす)
(マーカスとクレアは何かの呪文を詠唱する)
マーカス・クレア『ハァアアアア』
(爆音と閃光とともに2体のキメラと闇人の上半身が一気に消し飛ぶ)
(しかし闇人の上半身は再生し始める)
?『オメェら 随分と妙な術を使うじゃねェか でもな――』
(再生を終えた闇人が不気味な笑みを浮かべマーカス・クレアを見つめる)
?『格が違ェのよ』
(闇人が4本の腕を地面に当てると地面が黒くなりキメラが作られて頭からぬっと出てくる)
(戦いが続く)
父『くそっ!! キリがねェな!!!』
母『アル君たちが来るまで時間を稼げれば……もう一度』
(数時間後)
?『クソ!! アイツら まさかオレの攻撃を打ち消すとはな』
(ジェイが岩の陰で不安そうにしている)
ジェイ『おとうもおかあもまだかなあ… ってかこれ重』
(ジェイはネックレスを外してしまう)
(ジェイは隠れていた岩から出てきてしまう 辺りは破壊されている)
ジェイ『おとう…? おかあ…?』
クレア『……え!!!』
マーカス『…!!! 来るな!!!!』
(闇人が不気味な笑みを浮かべる)
?『ん? ガキがいたのか?』
(たくさんの腕がジェイに伸びる)
(その瞬間ーーマーカスとクレアが全力でジェイの前に飛び込む)
(闇人の腕がマーカスとクレアの体を貫き 鮮血が地面に滴る)
(腕が戻っていき マーカスとクレアがジェイの目の前で崩れ落ちる)
クレア(血を吐きながら)『大丈夫……私たちが…守るから……ハァ…』
(クレアはジェイに触れて何かを唱える)
(クレアから強い光が溢れジェイの元へ、ジェイは強い光に包まれる)
(クレアはそのまま目をつぶる その顔は笑顔である マーカスはクレアを腕で抱き寄せる)
ジェイ『おとう…… おかあ……』
マーカス『ハァ…ハァ…ジェイ…』
(闇人が目の前にやってくる)
マーカス(笑顔で)『愛してるぜ…』
クレア(笑顔で目をつぶっている)
(ザン!!、森に音が響く)
(闇人がマーカスとクレアに手を伸ばし魂を奪う)
ジェイ『………あ……………!! ああ………!!』
?『邪魔だ』
(闇人がジェイを吹っ飛ばす ジェイは巨木に吹っ飛ぶ)
?『壊れねェ…? まァいい 始めるか』
(闇人が巨木の前にやってくる)
?『キャンプの途中 火消しちまって悪かったな… コレはオレからのサービスだ』
(闇人は4本の腕を上げる)
(キメラが村を破壊し始める 何もかもが燃えていく 村の全てが燃えていく)
ジェイ(泣きながら)『うああああああああああああああ』
(過去シーンが巡る)
(お店のおばさんがいつもおまけしてくれること)
(友達とケンカしてクレアに怒られたこと)
(マーカスや村のお兄さん達とお祭りでバカ騒ぎしたこと)
?『あばよ坊主』
(闇人は4本の腕で巨木を切り裂く)
(巨木が目の前に倒れてくる 奥に見えるのはキメラに体を食べられるマーカスとクレア)
(そして視界は完全に真っ暗になる)
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