4.正鵠

4.正鵠

 それでぇ?関連性ってぇ?


 一言で表すと、"共通点"かしら。


 共通点?


 そう。たとえば、ロンドが遭遇したニューヨークの事件と私のルンビニの事件では、"朝のルーティン"が解決のキーワードだった。その次のプサンとアントワープでは、"日記への細工"、東京とマスカットは"紙幣に書かれたメッセージとボードゲーム"、ユールマラとアンカッシュは"本当の性別を隠したインフルエンサー"…プランナーが何らかの意思を持って共通点を作ったと考えられるわ。


 たしかにねぇ…。どれも事件の重要な部分が似ているなぁ。でも目的はなんだろうかぁ。


 じこけんじ


 バルカ、私が言おうとしてたのに先に言わないでくれる?プランナーは人を操って事件を起こし、計画どおりに事が運ぶのを楽しんでいるのであれば、世の中に自分の"作品"であることを示す目的で、その筋書きにあえて共通点を持たせるってかともあるわよね。


 メライ、バルカ、流石ね。その可能性はもちろんあるわ。そしてもう一つ…


 お、まだあるんだねぇ。


 ええ。"オーラの人物"…もしかしたら貴方たちも過去に出会ったことがあるのでは?


 ゆーるまら


 バルカはユールマラの事件で遭遇したのね。私はアンカッシュの事件、それと…


 あの研修だねぇ。


 そう。私たちが小学生の頃に受けた"上"

 が主催の研修。その時の責任者はアンカッシュと同じドス黒い"オーラ"を放っていた。


 つまり、貴女は、一連の"著名人殺し"に"上"が関わっている可能性が高いってことね。


 そのとおり。私はアンカッシュのクライアント(真犯人)と話した後、"オーラの人物"と会ったサッカー協会に行ったの。でもそんな人間はいないと言われて結局あの人物が何者なのか分からなかったわ。


 まあ"上"が関わっているのは皆何となく分かっていたことだよねぇ。いよいよ全面対決が始まるってことだなぁ。


 もう!パパはこんな時にどこで何をしているのかしら!


 メライ、今はロンドを信じましょう。彼はきっと私たちの元へ戻ってくるはずよ。だって、私たちは家族だもの。それまで私たちで捜査を続けましょう。


 ふん。貴女に言われなくても私はパパを信じてるわ。そ、れ、に、家族なのはパパと私とバルカだけね。私は貴女を認めていないわ!


 はいはい♫


 "家族"と"自己顕示"と"オーラの人物"…分かったようで何も分かってないようか気もするがぁ…。


 ますかっと

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