ロンドの旅 Part3ロンドとソナタの旅

2.端緒

2.端緒

　捜査を再開する前に貴女がいなくなってから昨日までどうしていたのかを教えてもらおうかしら。この事件を含めて、全てが繋がっているだろうから解決のヒントになると思うわ。

　メライ、貴女の言うとおりよ。"著名人殺し"の裏には同一の人物、または組織が関わっていることは間違いない。

　…。

　まず一連の事件の関係者はこんな風に分類できる。

　第1階層:ターゲット

　クライアントが殺害したい人物。

　事件の被害者。

第2階層:マリオネット

　自身の意思でターゲットを殺害した(する)

と思い込んでいるが、実際はプランナーの

　策略により殺人を実行するよう仕向けられ

　ている人物。事件の実行犯。

　※ルンビニの事件の実行犯は妻ではなく夫

　第3階層:クライアント

　プランナーへ殺人計画を依頼する人物。

　事件の真犯人。

　第4階層:プランナー

　クライアントへ殺人計画を授ける人物又は

　組織。一連の"著名人殺し"の黒幕。

ソナタは紙にこのように書き出し、事件の構造に共通点があることを説明した。

　私たちが見つけ出すべきは当然"プランナー"よ。この人物、または組織を捕まえない限り"著名人殺し"が終わることはないわ。

　ふ〜ん。で？貴方が言う"プランナー"は何の目的でこんなまどろっこしいことをしているワケ？

ソナタとバルカは東京でメライと旧友との再開を果たした。ホテルに宿泊し、その翌朝、彼女たちはソナタの部屋に集まり会話をしていた。メライは明らかに不満げな表情で頬杖を突きながら吐き捨てるように疑問を投げかける。

　それはまだ分からないの。だけど、4つの事件に関わってきて分かったこともある。

　…。

　キーワードは"家族"。私が関わったルンビニ、アントワープ、マスカット、アンカッシュの事件、いずれも家族が深く関わっていた。

　事件なんだから家族とか近い存在が犯人とか重要人物ってのはよくあるんじゃないかぁ？

　ええ、そのとおり。裏付けはまだ足りていないわ。だからこそ、ロンド、メライ、バルカが関わった事件について詳しく教えてほしいの。