孤独の砂
東井タカヒロ
家
太陽のように輝く照明。土の香りが部屋を充満させる。
「これでよし!」
植えた野菜に水をやる少年。
「南よ、ご飯が出来たぞ」
梯子から降りてきた爺さんが少年を呼ぶ。
「分かった。今いくよ」
南はじょうろを置き、梯子を登る。
「いただきます!」
席に着き、簡易的な食事を取る。
野菜は育てたものを、肉は缶詰のを、飲み物は地下水から引いた冷たい水を。質素なものを食べる。
ここの家は小さく、地下2階、地上1階で出来ている。
今南がいるのは地下1階だ。
「ご馳走さまでした!」
ご飯を食べ終わると、食器を機械に入れ、ボタンを押す。
色が薄れたソファに座り、録画されたテレビを見る。
「本日のニュースです。米中戦争が激化しており――」
機械が食器を自動洗浄する音と、テレビから流れるニュースを聴きながらゆったりと過ごす。
「南、少し外へ出てくる。人が来ても出てはいかんぞ」
食事を終えた爺さんが防具を来て、外へ出る。
「はぁーい」
軽い返事をし、爺さんの方を向くこともなく見送る。
しばらくすると爺さんが帰ってきた。
「今日は大収穫じゃ」
爺さんは種が入った袋を持ってかえってきた。
「爺さん……」
だけど少年は素直には喜んでなかった。
「その足…………」
赤く腫れ上がった足を見て、少年は青ざめた顔になる。
「大丈夫じゃよ、止血はしてるし、休めば治る」
爺さんは種の入った袋をキッチンに置くと、そのまま自分のベットへ向かった。
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