過去回想編
34つ目の友情
「僕のお母さん、病死だったんだけど。」なるべく明るく話そうと、意識して高い声をだす。
お母さんはすごく明るくて、強い人だった。僕が幼稚園に入園して少しし経った頃にガンという病気になったらしく、病院に通うようになった。だんだん僕と遊んでくれる時間が減っていって、家のことは僕任せになった。お父さんはお母さんが病院に行くためのお金とか、僕を幼稚園に行かせるためのお金とかを稼ぐために一日中働いていて、忙しかった。そんな時に、幼稚園に入る前から仲がよかった友だちとその子の母親が手を差し伸べてくれた。僕と遊んでくれた友だち、家事を手伝ってくれた彼の母親。二人の存在がすごくありがたかった。
ただ、そんな幸せな時間は長く続かなかった。母親の病気が悪化して、家にいる時間より病院にいる時間の方が長くなった。僕は母親が心配で母親に付きっきりだった。それでも、小学校に入学することになってからは、お母さんに学校に行くように言われて、学校に行った。”だんだん学校生活に慣れ始めた”という話をお母さんにした少し後に、彼女は亡くなった。その日までお母さんは、僕にたくさんのことを教えてくれた。僕は物知りなお母さんが大好きだった。
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