異世界で心を刀にして戦う少女たちの隠れ里を開いたら世界最強の暗殺集団を作ってしまった話しについて(仮タイ)
しき
プロローグ こんな世界で生まれたからには
空想武術。
それは男児であれば誰もが一度は妄想した事がある、頭の中だけで成立する喧嘩殺法だ。
例えば、空想の敵役達が順番を守って想像通りの攻撃しか加えてこなかったり、何故だかその攻撃に100%で狙い通りの対処が出来る謎の自信が心中で芽生えて居たり。
一般的な人の能力ではまず実現出来ない反射神経であったり体捌きであったり感情のコントロールであったり読心術めいたもはや”異能の力”に頼る事で、一人で多数や強敵を圧倒せしめる技の限りを指す妄想の類いだ。
空想武術、なんて痛々しい概念だろうか。
しかし、クレバーな思考によって優位なポジションからコスパ良く勝ちを取って行く喧嘩漫画の様に、根性論で絶体絶命の場面を泥臭く勝ち進んで行くバトル漫画の様に、
こう言う状況を作れたらぼくにもワンチャン出来るかも知れない……とは思うが現実では実現できない役にも立たない無駄知識の数々を考えるのが、何故だか無性に楽しく感じてしまう時期があるのだ。
人はそれを思春期と呼ぶのかも知れない。
空想武術は男子の多くが思春期に辿る成長の一過程と言えた。
少年心の星と言えた。
でも仮に。
仮にそんな空想の産物が、本当に実現出来てしまう世界に放り込まれたとしたら、僕達は淡い憧れを”成長”と偽って切り捨てる事が出来るのだろうか?
それが僕には、出来そうに無かった。
「魔力は可能性の余り分……この世界は、魔力さえあれば不足を補う事が出来るんだ」
僕は異世界転生を果たした。
深い森の奥にある部落で、狩人の父と守り手の母の元に生を受け、人種を只人からエルフにチェンジした僕は。
剣や魔導が主役を張っている空想が現実になった世界の只中で、人生をやり直す機会に恵まれた。
となればもう追い掛けるしかなかった。
世界最強にかっこいい、少年心の星って奴を。
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