ナナたんがいた。〜ナゲットを頬張る君はVtuber〜
COOLKID
一日目:なげっと。
ナナたんがいた。
ぼく、秋真はちょっとびっくりした。
ここ一ヶ月前から友達がちょくちょく話題にして、見せてくるスマホの画面とうり二つなカオが有ったんだもん。
思わずカリカリ動かしていたペンを置いちゃった。
ナナたんはVtuberらしい。
Vtuberという概念は流石にネット音痴なぼくでも知ってる。なんかこう、二次元の体を使ってエンタメをする人たち?だったっけ。
そのジャンルの人の中でもナナたんは、人ヅテ、それも友達からの情報だからホントかどうかは知らんけど、結構バズってる?らしい。
興味ないコトはすぐに忘れるぼくだけど、今日も熱弁してきたからぼくの記憶の中に否が応でもインプットされていたみたい。
でも、Vtuberってリアルの顔とおんなじように作るんじゃないはずだよね…?友達が学校の休み時間に見せてきた写真の姿と完全一致な気がするのはぼくだけだろうか。
白い髪に青い瞳の人なんてそうそういるもんじゃないからなぁ。
ま、きっとコスプレだろうとは思うけど。コスプレしてる人の写真も見せられたことあるし。
ナナたん(仮称)は、ぼくの左斜め前にある二人用のテーブル席に腰掛けた。
ファストフード店によくあるやつ。それのソファがないバージョン。ぼくの語彙力が少なくて、こう表現するしかない。
椅子の後ろにもたれかかって、何処を見るとかもなくナゲットを頬張り始めた。座っている方向の関係でなんとなく目線が合いそうと感じたので、ぼくは目を反らし数学のテキストにエイムを合わせた。
…別に目線が合った所でなんの関係性もないから、気まずくなるとかはないけど。
夕方のしかも下校時間の真っ只中、他にもお客さんそこそこいるし。席座ってシェイク飲みながら黙々と勉強してた高校生の目線にわざわざ反応するかって感じだ。
ま、そんなコト妄想してもなんの役にも立ちゃしない。さっさと勉強勉強。
ぼくは、すぐにナナたん(多分)のことを忘れ、三角関数の文章題に身を預けることにした。
でも、ナナたん(仮称)が食べてるのをみて、ナゲットが食べたい気分になっちゃったから、帰る前に買った。勿論バーベキューソース。
久々に食べると美味しいよね、これ。
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