第31話【修行の終わり。固有剣技】
「これが最後の授業だよ、アラタ」
「最後……」
「君に覚えてもらう、いや、生み出してもらう剣技――――固有剣技(オリジンアーツ)」
「オリジン、アーツ…………?」
――――俺の、剣技…………?
「剣士の加護を持つ者は、己の剣を技とするんだ。それは君にしかつくれない」
「俺、だけ………、………わかった。やってみる」
「いい自信だ、それが大事だよ。今から僕が一撃を放つ。それを技で相殺もしくは防いでくれ」
「………マジか‥‥」
「考えても何も生まれない。本当の危機にしか、秘奥は見えないよ」
「………それが、俺の力‥‥」
「ああ」
「やってやる。やってやるぜアルタイル!」
「じゃあ、早速いこうか」
「おう!」
そうは言ったものの。
「実際にお前を前にすると怖いなぁ…………」
剣を握るアルタイルが俺の前に立っている。
そこには小さな光、小精霊が集まってきている。
「…………ッ!」
【全力解放】!
脳のリミッターを外し、己の限界に到達する。
「…………いくよ」
アルタイル、闘気と魔力を解放。
そこにいる存在は正に最強の騎士。剣聖の名に似合うその男は世界以上。
「…………上等…………!」
俺も剣を構えた。右の片手剣。
低く右の後ろに構え、反撃の姿勢を見せる。これが、俺の思う剣技。
「剣技、――――覇剣」
闘気と魔力を一対一のバランスで完全に融合させた力。飛ぶ斬撃。
「やっぱ、すっげーな…………」
(どうする……腕力で弾き返すのは無理だ、防ぎきるのも…………)
「なら…………」
(――――――――受け流すしかない!)
魔剣発動。そして魔力に水のように流れる性質を付与。
(〝流水〟!)
飛ぶ斬撃を刃で受ける。しかし、その重さに押されてしまう。
「クソ…………」
(重すぎる……流せない……!)
「反撃するんだ、アラタ。……抗うんだ」
(抗う……俺は、負けない。――― 止まれない!)
「はっ…………!」
流れる魔力を更に加速。そしてイメージする。
(この力を、アイツにそのまま返すイメージ………俺だけの、〝剣技〟!)
「叫べアラタ、名は力を表す! キミの力の名を!」
「―――――………〝反撃剣技(ブレイドカウンター)〟!」
斬撃の力をそのまま弾き返す。武器防御(パリィ)などという生易しいものじゃない。
これが俺の、反撃だ。
「いいよアラタ!」
そう言いながらアルタイルは己に飛来する斬撃を天空に打ち上げた。
「それがキミの力なんだね!」
「ああ、これが俺の剣技、反撃剣技(ブレイドカウンター)だ」
「まさか攻撃を跳ね返す技とはね、予想以上だよ」
「俺もここまでいくとは思ってなかったよ」
「………明日の自信は?」
「分からない。けど、負ける気はしない」
「よろしい!」
(…………絶対に、負けるもんか)
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