第19話【別にデートじゃない】
土曜日。今日、俺と六花は約束通りショッピングに行く。
ちなみに関係ないが、体育大会の話は「ただのお隣さん」で済んだ。
というか、俺と六花が釣り合うわけがないとみんなが判断してそう認識している。
「今日どこに行くんだ?」
「‥‥駅前のショッピングモールを考えています」
「…………?」
(なんか‥‥六花怒ってない?)
少しムスっとしている。‥‥どんな顔をしても可愛い。
ただ、何に怒っているのだろう?
「六花、何に怒ってるんだ?」
思い切って聞いてみることにした。俺自身で考えるよりそっちの方が良い。
「…………別に、なんでもありません」
「それはないだろ、顔に出てるぞ」
「えっ、うそっ‥‥ええっ…………」
慌てふためく六花の動作は子供らしい。まったく、
「言っていいよ、俺が原因だろうし」
「べ、別にそういう訳ではないです。ただ‥‥新くんは私との関係を隠したがると思って‥‥」
「えっ‥‥それだけ?」
「それだけとは何ですか、私はかなり悩んでいるのですよ。‥‥たった一人の異性なのに‥‥」
「え、なんだって?」
「な、なんでもありません!」
「………? まあ、俺とお前の関係がバレたらかなりの反感を俺が買うだろうな」
「……私ではないのですか?」
「…………なんで六花が‥‥?」
俺が疑問に思っていると、
「前髪で隠していても分かります。貴方はかなり美形だと思いますよ?」
「………ないない、俺の顔を好きになる奴なんてそうそう…………」
(……あれ? 更に怒ってない?)
めっちゃ顔膨らましてる……。……子供か、怒り方が幼稚園児なんだよ…………。
「………今日は出来るだけ言うこと聞くから、それで勘弁して下さい」
「……分かりました」
(まったく………とんだお姫様だ)
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