2024年12月5日。バナナ支離滅裂9

サバイバルになるとハンターは言った。僕は僕もそう思うといった。いくらゴリラと言っても元々がバナナだからジャングルで生き抜くという経験はない。ただそこにいて育っていくだけのバナナだったのだから。しかしゴリラになった今はなんとしてでも動かなければならない。そこに留まっても成長出来るわけではなく、ご飯がやってくるわけでもない。自分で自分のご飯を狩猟しなければならないのがゴリラの宿命である。種の繫殖などは別に興味がない。そして自分の今のゴリラはオスだということは分かっているが、それでも得にはそこまで遺伝や欲求によって支配されることはあまりなく、至って普通の生命体である。だがそれ以上にゴリラになりえたことが嬉しくて欲求を超越しているのだろうと僕は推測した。バナナの木を見つけた僕はすかさずその木に近寄った。これが僕の前世の姿だったのか。不思議と懐かしさはあるが、戻りたいという感情にはならない。ただ成長の一過程で僕はバナナからゴリラになっただけだ。??よく意味が自分で言っていても分からないけどそれでもゴリラに対しての愛着は芽生えつつあった。バナナを房ごと取ってそれをハンターに一房差し上げた。ハンターがとても喜んでいた。サンキュー。と言ってハンターは僕に胸元から拳銃を手渡してくれた。使い方は分かるか? とハンターは言った。わかるか。と言いたい所だったが、なぜだか僕にはその使い方が分かった。それはハンターのさっきの所作を見ていたからというだけではなく、雰囲気で第六感で感じる事が出来たのであろう。しかしそれをしまう方法がなかったのでおどおどしていたら、拳銃入れをハンターがくれたので嬉しくなってうほって吠えた。

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