最強ロボットに乗れたら聖女らしいけど失敗して追放された私、いつの間にか追放先の国で国力を牛耳る事になってしまった件
ミレニあん
第1話 ……聖女?
私、
それなりに手入れしている茶髪ボブ、顔立ちはまぁ整っているかなぁって程度だけど、特別美少女という訳でもない。
胸も平均的よりちょっと大きい程度。
こんな体たらくなので男子から注目された事はないけど、かと言ってモテたいとかそういうのは思っていない。
あとはまぁ……そんなに明るいタイプじゃないから、クラスではあまり目立たない。
クラスの1軍や中心にいる子がライオンなら、私はそこら辺で飛んでいる羽虫のようなもの。
そんなパットしない……小石に手足が付いたようなのが、釈城優愛という人間だ。
その私がいつも通り授業を終えて、まっすぐ家に帰ろうとしていた時。
急に足元が光り出して、私が驚きの声を上げる前にその光に包まれてしまった。
そして光が収まったので目を開けてみると、
「おお、転移が成功したぞ!!」
「ちゃんと女性だ!! 男性ではない!!」
「これで我らの宿願が成される!! 帝国バンザイ!!」
「……えっ?」
まるで王宮のような建物内部のど真ん中に立っていて、ローブを纏った男性達に囲まれていたのだった。
……どういう事?
どうみても現実の光景だし、夢を見ている訳じゃない。何が起こったっていうの?
いやでもこの状況ってもしかして……WEB小説によくある異世界転移ってやつ?
さっきの光も、よくよく考えたら魔法陣っぽい図形だったような気がするし。
「失礼、お怪我はございませんか? このような強引な行為をして申し訳ない」
ポカンとしている私の元に、1人の赤髪の男性がやって来た。
長身でイケメン、それでいてマントを携えた貴族的な身なり。
こちらの世界をちっとも分からない私でも、この人が相当な身分なのは一目で分かった。
「あっはい、大丈夫……ですけど……」
「それはよかった。私は『ネルソン帝国』の皇帝ジェラルド・ネルガリア。あなたは私の用意した召喚魔術師の手により、異世界から転移をなされたのです。失礼ながらお名前は?」
「……釈城優愛です。あっ、優愛が名前です……」
「ユアですね。しかもあんまり驚かないとは、よほど肝が据わっていると見ました」
「はぁ……」
いやこれでも結構驚いている。
驚き過ぎてリアクションが中々取れないというのと、異世界転移の事を良く知っているという理由から、そういう風に見えてしまっているらしい。
とりあえず余計な事は言わないでおこう……変にこじれるの嫌だし。
「それはさておきユアさん、あなたは実に運が良い。先ほど召喚魔術師の施した魔法陣は的確な人物を捕捉し、転移させる仕組み。つまりあなたにはその資格があるという事なのですから、すぐにでも富と名声を得られるのです」
「富と名声? それってどういう……?」
「――『聖女』です。あなたは今から聖女として君臨し、我がネルソン帝国のシンボルになっていただくのです」
「……聖女?」
聖女って、WEB小説に出る徳の高い女性だっけ?
……こんな冴えない私が聖女?
もっとそれに相応しい子がいるのでは?
私なんてそこらの町娘に相応しいと思うし、そもそも私に聖女らしい振舞いなんて想像付かない。
「まだ吞み込めないようですが、無理もない。ともかくあなたが聖女なのか、すぐに確かめてもらいます」
「えっ、まだ聖女じゃないって事ですか?」
「あるテストをクリアすれば、正式に聖女となりえるのです。もっとも実力のある召喚魔術師により召喚された身、試すまでもないと思うのですが」
ヤケに自信たっぷりに言うジェラルドさん。
えっ、このままマジで聖女ルート?
ちょっと待って、まだ気持ちの整理とか出来ていないんだけど大丈夫なの?
そんな混乱の最中でもジェラルドさんや従者2人によって連れられていき、王宮の中らしき広間から出て行ってしまう。
それから廊下を歩く事しばらく、とある巨大な扉が見えてきた。
「さぁ、中へ」
従者によって扉が開いていく……一体中に何があるんだろう?
確かWEB小説の展開に沿うなら、スキルを鑑定する石碑でもあって……、
「……へっ?」
展開を予測していた私が、すっとんきょうな声を出してしまった。
……いや何これ、ほんと何これ……。
それは20メートルくらいはあって、顔があって、両腕があって、両足があって、全身に黒い装甲のような物を包んで。
まるで黒い騎士をスケールアップしたような……いやこれは紛れもなく……。
「ロボット……?」
男子に人気なロボットが、私の目の前にあったのだ。
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お読みいただき、誠にありがとうございます!
カクヨムコンテスト参加作品という事で、最後まで付き合って下されば嬉しく思います!
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