401号室

ツヨシ

第1話

不動産会社に就職した。

会社と言っても、従業員は社長を含めて三人。

つまり俺が入る前は社長ともう一人しかいなかったところだ。

一応事務で入ったのだが、営業や電話対応に始まり経理や事務も。

つまり何でもやらされた。

忙しく、精神的にも肉体的にもきつかったが、給料だけはよかったので、辞めずにそのままいた。


そんなある日、入居者の一人が死んだ。

アパートの一室で。

401号室だ。

死んだのは若い女性で、部屋に越してから二か月ほど経っていた。

死んだ日は四月一日。

エイプリルフールの日だ。

死因は不明。

そんなバカなと言いたいが、警察がいろいろと調べたそうだが、結局はわからなかった。

「事故物件になっちまったな」

社長が他人事のようにつぶやいた。


賃料を下げ、事故物件であることを告知する。

その通りにすると、次の入居者が決まった。

中年の男性で、半年ほど出張で使いたいと言うのだ。

「半年かあ。まあまあだな」

社長が言う。

俺には、なにがまあまあなのか、よくわからなかった。

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