401号室
ツヨシ
第1話
不動産会社に就職した。
会社と言っても、従業員は社長を含めて三人。
つまり俺が入る前は社長ともう一人しかいなかったところだ。
一応事務で入ったのだが、営業や電話対応に始まり経理や事務も。
つまり何でもやらされた。
忙しく、精神的にも肉体的にもきつかったが、給料だけはよかったので、辞めずにそのままいた。
そんなある日、入居者の一人が死んだ。
アパートの一室で。
401号室だ。
死んだのは若い女性で、部屋に越してから二か月ほど経っていた。
死んだ日は四月一日。
エイプリルフールの日だ。
死因は不明。
そんなバカなと言いたいが、警察がいろいろと調べたそうだが、結局はわからなかった。
「事故物件になっちまったな」
社長が他人事のようにつぶやいた。
賃料を下げ、事故物件であることを告知する。
その通りにすると、次の入居者が決まった。
中年の男性で、半年ほど出張で使いたいと言うのだ。
「半年かあ。まあまあだな」
社長が言う。
俺には、なにがまあまあなのか、よくわからなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます