誉められもせず苦にもされず、ハッピーエンドに私はなりたい。
ナヤカ
プロローグ 雨にも負けるし風にも負ける
俺は完璧な超人になんてなれやしない。
雨が降れば濡れる面倒を考えて気分は落ち込むし、つよい風が吹けば歩みは止まる。いくら健康でも、雪が降るほどの寒さには耐えられないし夏の暑さには降伏してクーラーのスイッチを入れてしまう。
日々をどれだけ冷静に送ろうと努力をしてみたところで、欲求や怒りといった一時的な衝動に支配され後悔したことだって何度もある。
目に見えるすべての人を救うなんて傲慢なことだ。
目の前にいるひとりを幸せにすることはおろか、自分の機嫌をとることすら難しいというのに。
ただ誰かのためだけに生きる心無い機械になれたらどれだけ良かったか。
だが、俺はそうはなれない。誰かに話しかけられれば心は躍り、そこにある言葉一つで簡単に嬉しくなったり悲しくなったりしてしまうのだから。
ただ、叶わないと諦めつつも願うことだけはやめられなかったのだ。
――そういう者に私はなりたい、と。
【Q】「なぜ遅刻したのですか?」
【A】「電車のなかでおばあちゃんから「降りる駅が分からない」と話しかけられて丁寧に教えてあげたのですが、その後も不安そうな顔をしていたので本当に降りられるか心配になりおばあちゃんが降りる駅までこっそり後をつけたからです」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます