天才冒険者の努力無双
さい
少年編
第1話 努力
俺ことリョウ=ドゥーンの親父は世界五代冒険者に与えられる称号『勇者』を持つ、冒険者。
だから、俺もいつか親父のような冒険者になることが夢だ。
俺が魔法を使うことができたのは、他の子よりも早く三歳の時のことだった。
平均的には七歳なため、今思えばめちゃくちゃ早い。
さらに、俺の魔力量は三歳時点で、十八歳の魔力量だと診断された。
いわば、俺は『天才』だ。
俺が五歳になると、親父はまた冒険者として旅立つことにし、去る前に俺にこう言った。
「よしリョウ。冒険者になったらまた会おう」
「おう!! 絶対に冒険者になって親父みたくなってやるから待ってろよ!!」
「ふん、その気持ち忘れるなよ。あと、お前は一万年に一人の天才だ、だが、天才だからと気を抜くな。努力をしろッ」
「どうして? 天才なら別に努力なんてしなくていいじゃん」
すると、親父は俺の頭に手をポンと置いて言った。
「バカ言え、お前は天才なんかで終わっていいのか? そんなんじゃ俺のような冒険者にはなれねえよ!!」
今でも、親父の言葉を忘れることはない。
冒険者になるためには、十五歳から受けることのできる冒険者試験に合格しなければならない。
だから、今日も俺は試験合格のために修行をする。
待ってろ親父。
リョウ=ドゥーン、十歳。
今日も一生懸命頑張ります!!
いつものように気合を入れて、家から出ようとしたその時だった。
「ちょっと、リョウ?」
「ギクッ」
背後から母さんの声がする。
「最近、授業をしっかり受けてないらしいじゃないの!!」
ここ、グランハザニャ大陸の辺境に位置する、ガルーラ島には学校はなくオンライン授業が主流だ。
そのため、最近はパソコンを付けっぱなしにして授業に出席しているふりをし、隠れて修行をするような毎日を過ごしていたのだけれど、とうとうバレてしまったみたいだ。
「勉強なんて意味ないじゃん、俺は冒険者になるんだからッ!!」
「あんたねえ、冒険者には絶対になっちゃダメよ」
母さんは冒険者が大嫌いだ。
理由は親父が冒険者だから。
とは言っても、昔は母さんも冒険者だったらしいけど。
「やだね、なる」
べー、と舌を出すと、俺はすぐさま家から飛び出した。
修行はまず、アップとして五キロ走り、その後に腕立て、腹筋、背筋を百回ずつするところから始まる。
この島には子供がは少なく、おれと同い年の子はもう一人男の子がいるらしいけど、一回も見かけたことがない。
山の中、アップを終えると、俺はその場に座った。
「俺は今、どのくらい強いんだろー」
いつも思う。
自分の強さがどのくらいなのか、と。
親父は俺を強いって言ってたし、その通りなんだよな!!
「うう、本当……だよな?」
もしかしたら、俺はめちゃくちゃ弱いのかもしれない。
ううん、俺は強い!!
と、その時、ぐうう、とお腹が鳴った。
家に帰ってご飯を食べたいけど、母さんに怒られるだろうし……。
よし、動物を狩るとしよう!!
準備運動をした後、自分で作った腰に携えていた木でできた短剣を取り出した。
本当は本物が欲しいけど、お金がないし、母さんが買ってくれることもない。
「動物を狩ってその肉を食べる、めちゃくちゃ冒険者みたいだなあ」
なんて妄想をしながら、俺は動物が潜んでいそうな場所を探すことにした。
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