タイムカプセル
@HANAMIHANATABA
第1話
みんなで忘れられない体験をした夜。僕たちはこの木の下に埋めたタイムカプセルを取りに来るはずだった。でも、みんな忙しくて僕だけでもいいから、取りに行ってくれと頼まれた。
「ここのはずだ」
この木の下には、僕たちの思い出が埋まっている。その思い出を、小さなスコップで掘っていく僕・・・。
小さなスコップで掘っていくと、薄汚い青い箱が埋まっている。その箱を僕は開ける。そこには、『大人になった僕たちへ』というメッセージと共に、いつの日かのテストの答案や写真があった。
「ああ、懐かしい・・・」
僕はなつかしさに浸っている。
木の下に座り込み。薄汚い青い箱に入れていた手紙を読んだ。
『あの時のぼくへ──
いま「僕」は何をしていますか?
きっとかっこよくて、人を助けられる大人になっているんだと思います。
そんな「僕」へ。「僕」が今後。どうしようもなくなったら、この手紙を読んでください・・・・。「大人になったら、楽しいことだけではなくなるよ」、と父親が教えてくれました。だから、もしもしんどくなったら、この手紙を読んでください。
僕へ僕より』
みんなで忘れられない体験。高校生の頃の僕は、これがもしも、ほかの人に掘り起こされて、読まれていないか心配だった。
田中、木下、唯香の手紙が残っていた。僕はそのまま、彼らの手紙も読もうとした。
「おい!なにしてんだよ。剛」
「ああ、やっと来た」
「「やっと来た」じゃねえだろ!お前、俺らの手紙も読もうとしただろ!」
「つい気になって、それより、木下と唯香は?」
「ああ、あいつら、あと一時間でくるってよ」
「じゃあ、昔の話でもして待ってようぜ」
「ああ、そうだな・・・」
僕と田中は、木の下で笑い合っていた。その光景を見ていた桜の木の花びらは、綺麗に舞っていた。
タイムカプセル @HANAMIHANATABA
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます