第1話。/ 7分の1。

俺の手には、リボルバー式の銃が握られていた。

昔遊んでいたゲームを思い出しながら、弾倉を確認する。



弾倉には、既に一発の弾丸が入っていた。

[ 空きが6室。弾丸1発。 ]



「な──なんだよコレ────」

「誰かのイタズラか?俺の部屋に誰かいるのか??」



声を荒らげたが、当然、その声に応える声は無かった。



大学の友人は、誰も俺の家を知らないし、

家族は離れた地元にいる。


という事は、俺の知人がこの銃を仕掛ける事は出来ないという事だ。



再び銃に目線を落とす。

すると、あることに気がついた。



さっきまで無かった模様が入っている。

その模様は文字の様に見えた。実際、単語として読むことが出来た。




Look Up!上を見て!




奇妙な感覚を覚えながら、言われるがままに上を見た。




その瞬間。




銃を握っていた俺の手が、俺の意思とは関係なく、銃口を俺の顎に突きつけた。


銃はルーレットのように、勢いよく弾倉を回転させ、ベルの高い音と共に停止した。



「な、なに───!?」



叫びかけたその時、頭の中に声が響いた。





『 引 き 金 を 引 け 』






どこか聞き覚えのある声だった。

だが、誰なのかを思い出す前に、俺の指は引き金を引き───────




『バン!!!』





頭の中に声が響いた。だが、銃からは弾丸は出ていなかった。



弾は出なかった。その事実を噛み締めた瞬間、全身から汗が吹き出た。



手の制御権が自分自身に戻った時、俺はその場に倒れ込んだ。




頭の中に声が響く。

『何者かになりたいなら、それだけの"対価"が必要だ──────』





俺の目の前には、夢で見た少女が立っていた。

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