第3話  死のチェイス


決戦当日……俺達は玄田町の中央通りで嵯羅黃と対面した。町の人は昨日の果たし状の事をどこかで聞きつけたのか1人もいなかった。警察も嵯羅黃が暴れるとなると非番にしていた。俺達の目の前にいたのは眼鏡を掛けたインテリ系の嵯羅黃の幹部と思われる男だった。


「ついに貴様らを潰す時がきた。おとなしく隅っこで怯えていればこんな事にはならなかったのに。残念です……。」

 

「あいにく俺達は明日がないんでね。あ――ちょっと開戦の前に一ついいですか?どーせ待ってくれないと思うけど。」

 

「嵯羅黃組員に告ぐ!こいつらを殺せ!」


 やはり待ってはくれなかったか。だが、俺達には作戦がある。こいつらに勝つ作戦が。


「テッチャンやれ!」

 

「はい!」


 俺が指示するとテッチャンはメガホンを急いで取り出しこういった。


「スターファイナンスの皆さーん。ここに債務者がいます!木本剛です!今日期限ですが、払いません!」

 

「よし!逃げるぜ!」



 俺達はそういった瞬間に3人でバイクに乗り、逃走した。作戦はこうだ。正直言って360人の嵯羅黃に3人で勝てる気はしない。はっきり言って無謀だ。そこで今現在領土争いをしているスターファイナンスを挑発し、嵯羅黃と戦わせて俺達が残党を片付けるってことだ。最近、スターファイナンスの温厚派のトップを嵯羅黃が襲撃し入院させた影響で一触即発の状態だったし、町でもいつ戦争が起こっても良いように避難準備がされていたから良いタイミングだっただろう。


 俺達が逃げた後、しばらくして後ろから嵯羅黃と思われるバイクが追いかけてきた。10台程だったので恐らく大丈夫だろうと思っていた。だがここで俺に誤算が生じていた。後ろから火の玉の様な何かが飛び、轟音が聞こえたのである。


「嘘だろ?異能持ちがいて尚且つチャカ持ちもいるのか……?」


 チャカに加えて火の玉を飛ばす異能……奴らは本気で俺達を殺そうとしている。その焦燥感から俺は急いでギアを上げ、メインストリートを駆け抜けた。


「お前らよく掴まってろよ!!!」


 あいにく俺達には反撃する材料は持ち合わせていないので、ひたすらスピードを上げて逃げ切る他に道はない。排気音が激しくなると共に心臓の鼓動もリンクするように激しくなっていく。チャンスを掴む為にも絶対に逃げ延びる必要がある。相手の攻撃を避ける為にスリップギリギリレベルでドリフトしているが、正直何時まで持つかは分からない。俺は高速へ入り、さらに速度を上げていった。高速道路から相手のバイクもエンジンを吹かし速度を挙げていく。激しいデッドヒートを演じ、カーチェイスを続けていると、俺の背中辺りに鋭い痛みを感じた。


「チッ、どうやらカーチェイスも余り長くはできねぇらしい。背中に一発貰っちまった。プロテクターが若干守ってくれたがな……。」


「後ろも相当やべぇぞ……このままだと後ちょっとで追いつかれちまう……!」


 此処を切り抜ける為にどうにかしなければならないと切り抜ける術を考えている刹那、エンジンの大きな轟音が聞こえた。嵯羅黃と思われるトラックが正面に現れたのである。


「お前達はここで終わりだ!!!」


 そう言うと、俺達のバイク目掛けて正面衝突を仕掛けてきた。もう生き残りへの道はこれしかないと考え、俺は急ブレーキを掛け、ガードレールへバイクを進めた。


「チャチャ、テッチャン、覚悟決めろよ!!!」

 

「オイオイ……まじでやるのかよ!おめぇ!」

 

「嫌だ嫌だ嫌だ――――――――!!!!!」


 そして俺達のバイクは高速道路から地上へと飛び降りた。



 


 



 

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