第2話 負け犬
「いやまあ最悪だぞ、カコム、ライフルの借金と税金とかは自己破産でなんとかなるぞ?闇金がヤバいわ。」
「しかも返済する先があの絶対貸します!返さなかったら死にます!のスターファイナンスですからね……あそこヤバイ取り立て人いるらしいんで死にますよまじで……」
スターファイナンスとは玄田町でも有名な絶対借りてはいけないと噂されている闇金だ。あそこは確実に金を取り戻す為にまず全員に生命保険を掛けて、返せない場合は取り立て人が殺しに来て、不慮の事故とするといった事をするらしい。あそこだけはサツも手を出せないほどだ。
「とりまチャチャ1000円寄越せ。150万円に増やしてやる。」
「絶対無理だろッ!?」
「そういえばこのボロアパートも最近退去命令が来てるんですよ!僕達のせいで
「まだあいつら俺達をこの街から追い出そうとしてんのか。いい加減にしてほしいぜ……」
嵯羅黃は能力者を多く取り込み成長している半グレ集団だ。15年間この町の半分を陣どっている奴らで、次々と能力を持っている人に接近してはスカウトを図り、断れば嵯羅黃以外の勢力が出ないよう、町への追い出しを図る奴らだ。俺達も例外ではないようで、度々襲撃を受け、入院生活に追い込まれ、少ない掛け金を入院費に使わされた。
この世界ではたまに能力を持って生まれる奴がいる。どんな能力かは生まれてからでないと分からないが能力者は特に珍重され、様々な舞台からスカウトされる。エリート教育を受けて尚且つ才能があるなら都の有名企業や国などが取り込み、落ちこぼれは裏の奴らや地方の組織が取り込むといった所だ。此処の町はどっちかというと後者の奴らが支配して暴れまわるもんだし、国が雇ってる能力持ちは殆ど中央の方の仕事に行ってるもんだから警察は全く役に立たないし、まあまあ酷い町だ。
「最近は嵯羅黃も残りの敵が俺達とスターファイナンスのみで勢いづいているらしいですよ?」
「闇金の150万を何らかの方法で完済したとしてもそうかあいつらがいるのか……家も奪われず、150万を完済するそして今まで通りパチンコができるにはどーするか……」
その瞬間チャチャが意気揚々と手を挙げた。
「俺馬鹿だから出来るか分かんないけどよ、今どっちも解決できる方法を思いついたぜ!」
「本当ですか……!?はやく教えろください!」
「どっちもぶっ飛ばしてそいつらの財布を盗むんだ!これなら完済する必要なくいけるぜ!」
「いや待てよ!嵯羅黃はまだいいとして俺達スターファイナンスの取り立てに勝てんのか?それにスターファイナンスに関しては借金を今月返せば終いだ!わざわざ戦う理由が無いぜ!」
「そうですよ!なんでスターファイナンスも襲うんですか?」
「さっきよタケおめぇ自己破産すればいいとか言ったじゃんかよ?前おめぇを待ってる間よ、パチンコ屋の漫画コーナーで借金について書いてある本を読んだが、借金理由がギャンブルの時は自己破産出来ないらしい。」
「え?まじで言ってます?ということはつまり……」
「もしスターファイナンス分が完済できたとしても国家に殺される。」
まじか。自己破産ってなんやかんやでできるもんかなと考えていたけど、そんなノリじゃなかったんだな。
「という訳だぜ。俺達はもう明日がない負け犬なんだ。だったらせめて俺達の命3つ賭けて明日を掴もうじゃないか!それによ――」
「今まで嵯羅黃にやられてばかりで仕返しを一切せずに生涯を終えるなんてそんな生き方俺は御免だ。そうは思わないか?おめぇらも本当は分かってんだろ?今まで嵯羅黃に襲撃されたのに仕返しせずにいた理由を。」
確かにチャチャの言う通りだ。嵯羅黃に入院生活をさせられ、仕返ししたとしても報復を食らうだろうと考えて、必要以上に傷つくのが怖くて逃げてきた。だが、もう何も残らないなら負け犬でも最期に俺達の生き様を魅せてから死んでやる!社会の笑い物の強さを見せつけてやる!
「よし!お前の案に乗った!俺の人生を賭けようじゃないか!じゃあどうするかだな――」
その日は三人で作戦を立てて、就寝した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
翌朝……俺達は作戦実行の為にその辺にうろついている嵯羅黃の下っ端を探し、果たし状を届けに行った。
「お前らはクズチームのgoodboysだったかな?良い子はさぁ――とっととこの町から出ていけばいいのになんで物わかりが悪いかな?あ―そっかそっかクズチームだから頭の方も悪いのか!で?そのチビのションベンたれまだ仲間なの?前襲撃した時も漏らして情けなく泣いてたっけ。ハッハハハハ――」
嵯羅黃組員の下っ端がくだらんおべんちゃらを喋り終わる前に拳で何発も顔を殴りつけ、回し蹴りでゴミ置き場へふっ飛ばした。
「な――なんだと!?貴様ら嵯羅黃に歯向かうつもりか?嵯羅黃組員は360人いるんだぞ!お前らどうなるか分かってるんだろうな!!!」
「何人でも連れてきな?どーせ明日で嵯羅黃も終わりだがな!はいこれ果たし状。日時と場所書いてるから。何人来てもいいからね!あとさ――」
「テッチャン馬鹿にすんじゃねぇ。次言ったらお前が入院するかもな?」
そう言い放ち、俺達は嵯羅黃の下っ端の元を後にした。幸いにも下っ端は追いかけては来なかった。恐らく急に俺達が抵抗の意志を露わにしたので驚いて動かなかったのだろう。
「なあなあ……俺めっちゃかっこよかったくね?あの最後のセリフ言った瞬間に決まった……!!!て思ったもん!」
「タケ宣戦布告としては上出来だったな!おめぇかっこよかったぞ!」
「あの……僕の為に怒ってくれてありがとう……!僕は臆病で逃げ出すし弱いのにどうして?」
「当たり前だろ?俺達はbadboysなんだぜ?それにお前を入れたのは弱いからじゃねぇ……俺達が仲間としてお前を迎え入れたいって思ったからだ。」
その日は残りのお金を皆で出し合って、屋台の醤油ラーメンを食って早く就寝した。そしてついに俺達の決戦の時が来た!
パチンコ大好きタケ、競馬大好きチャチャ、当たらないけど株が大好きなテッチャン。みんな合わせて、『バッドボーイズ』(短編) @tetois
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